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終末の七勇者(改)  作者: ヤミ
一章 天地大戦
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第四話 対峙

皆さんこんにちは。

ヤミです。

本日は第四話を投稿させていただきました。

天井に開いた穴を閉じるため、穴の下まで向かった星影たち。

そこで彼らを待ち受けていたのは。

是非お楽しみください。

 星影達は、天井に開いた穴を塞ぎに学校を出た所だった。学校にはスティカとリリィが残っている。緊張していて何一つ誰も話すことなく穴の下まで来た。


「今回穴を塞ぐと言っても私の氷で一時的な応急措置をするだけなんだけど、また破られないように結構分厚く作らないとだから時間掛かると思うけど、みんな回りの警戒を頼むよ。」


 シエルの言葉にその場にいた全員がさっきまで以上に気を引き締めた。その時、空から二人の男が降りてくる。


「敵だ!!」


 トーマスが叫び全員に知らせる。


「やっぱり、簡単にはいかないよね。」


「ええ。勿論。」


「塞ぎたいのであれば、俺たちを倒してから行くんだな。」


「あなたたちは何者?」


 シエルの質問に二人はふっと笑みを浮かべ、一人は被っていたシルクハットを胸元に当て


「私は《プレデター》幹部《殺し屋》ジャック・ザ・リッパーです。」


 もう一人は、片眼鏡を掛け黒マントの男がマントを翻し、胸元に手を当て


「同じく《プレデター》幹部《怪盗》アルセーヌ・ルパン。」


 二人はそう名乗り終えるとジャックがシエルに指差し


「今回私たちはあなた方と争うつもりは毛頭ありません。こちらの条件を呑んでいただければ、それで私たちは引き下がります。穴を塞ごうと構いません。」


「一応条件を聞いておくよ。」


 シエルは警戒しながらジャックの提案を聞く。


「感謝いたします。こちらの条件は《王の器》シエル、あなたの奪取です。」


 ジャックはそう言いシエルに手を差し伸べる。


「その条件は呑めない。」


 シエルはジャックに鋭い眼差しを向け、低い声で答える。


「そうですか。では仕方ありませんね。力ずくで奪わせていただきます。」


 するとジャックとアルセーヌの気配が一気に変わり、空気が凍てつくような緊張感が走る。


「全員!戦闘態勢!ここで《殺し屋》と《怪盗》を討つよ!」


「了解!」


 シエルの号令に星影達は銃を握り、《殺し屋》、《怪盗》と対峙していた。


「いきますよ。」


 すると、ジャックの手からナイフが生成され、それをいくつも投げてくる。


「下がって!」


 シエルが手の平を相手に向けると、氷の壁が展開される。飛んできたナイフは氷の壁に当たると跳ね返り、地に落ちて消えていった。


「氷ですか。これは厄介ですね。」


「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ!」


 シエルが展開した氷の壁をアルセーヌは軽々と飛び越えてくる。しかし《怪盗》はシエルには目もくれず、星影達に向かって銃を発砲してくる。


「伏せろ!」


 クラウスが叫び、星影達は全員銃弾をかわす。すぐさま、クラウスとトーマスは駆け出し、《怪盗》の間合いに入る。


「早いな。だが、俺の方が早い。」


 クラウスが持っていた短剣で《怪盗》を振り払ったと思ったが、クラウスの手には何も握られていなかった。


「隙だらけだぜ。こんなモノすぐに盗める。」


 《怪盗》の背後にトーマスが飛び出し、メリケンサックをはめた拳で頭部を殴る。


「なかなか良い腕だな。」


 だが、トーマスの拳、いや右腕は肘の部分から無くなっており、《怪盗》の手の上にあった。出血はない。パーツのように腕だけが取り外されていた。まるでプラモデルの様に。


「腕がぁ!!」


「そんなに騒ぐなよ。見苦しいぞ!」


 《怪盗》は大きな本をどこからか取り出し、その中にクラウスの短剣とトーマスの右腕を仕舞い込んだ。


「何をしているんだ?」


 クラウスの問いに《怪盗》は


「コレクションさ。俺は世界中の全てのモノを手に入れる。その為に、俺は《プレデター》に入ったのさ。」


「どういう意味だ?《プレデター》の幹部は皆、オリジンによって産み出されるのではないのか?」


 クラウスの疑問に、《怪盗》はニヤリと口角を上げて話し始めた。


「俺は元々、お前たちと同じ《整合騎士団》の一員だった。」


「となるとコードネームからして《邪神》か?」


「ご名答。《整合騎士団》の中でも唯一犯罪経歴のある人物の寄せ集めのグループ。そしてジャックもそのうちの一人だ。」


「何故、《プレデター》に加わっている?」


「何故かって?そりゃあこの世の全てを手に入れるためには強力な力が必要だ。だからオリジンの下に付いたんだ。そのお陰で今となっては何でも盗む事が出来るようになった。」


 今まで冷静だったクラウスが《怪盗》の話を聞き、もう一振の短剣を手に握ると


「お前はここで殺す。世界を、人類を脅かす悪党が!」


「今度は腕ごと盗んでやるよ!」


 クラウスが《怪盗》の目の前まで駆け寄り、短剣を振りかぶる。その時、一発の銃声が響く。


「くっ!」


 どこからか放たれた銃弾は《怪盗》の右腕を撃ち抜いていた。そしてその一瞬に生まれた隙をクラウスは逃すことなく、《怪盗》の胸を斬る。しかし、《怪盗》は攻撃を避けようと体を捩っていたため胸への傷はかすり傷程度で済んだ。


「誰だ?」


「助かった。スティカ。」


 氷の壁の上にはスナイパーライフルを持ったスティカが立っており、クラウスは彼女に礼を言う。


「まだ仲間がいたのか。」


「リーダー!大丈夫ですか!」


「私は大丈夫!クラウス、《怪盗》はそっちに任せるよ!」


 シエルは氷の壁の向こう側にいるクラウスに声を掛ける。


「了解!」


「リーダー。あのシルクハットの男を殺ればいいですか?」


 リリィはバスターソードを背中から抜剣するとシエルの隣に立ち、《殺し屋》へ剣先を向ける。


「できれば殺さないでほしいな。彼には聞きたいことがあるから。」


「了解です。」


「おやおや、女性なのにとても物騒なモノを持っていますね。」


「はっ、ずいぶんと余裕そうね。」


「リリィ、いくよ。」


 シエルの声にリリィも構え、二人は同時にジャックに向かって駆け出す。シエルは氷の剣を手に持ち、氷の礫を放ちながら徐々に間合いを詰めていく。だが、それはジャックの放つ無数の刃物に穿ち抜かれる。


「なかなかいいですね!ですが惜しいですね。」


 するとジャックも駆け出し、両者は次第に間合いに入る。三人の刃が交わり、火花が散る。


「イッツ、ショーターイム。」


 ジャックがそう口にし、指を鳴らす。突如、地面からたくさんの刃物が剣山のように飛び出してくる。


「くそっ!」


 その刃物はシエルとリリィの腕や足をかする。二人は痛みにふらつき始める。


「先程までの勢いはどうされましたか?」


 ジャックが煽るように声をかける。だが、シエルたちは剣山の中に囚われていて、動けばおしまいだ。


「クラウス!二人が!」


 星影がクラウスに声をかけると


「余所見とはいい度胸だ!」


 《怪盗》は星影目掛け跳んでくる。


「神木!リーダーたちを頼んだ!」


 クラウスの声に神木は頷き


「了解だ。」


 神木はシエルたちを目指し一直線に駆けて行く。あっけに取られていた星影の目の前に《怪盗》が現れ、星影の何かを盗もうとする。すると星影と《怪盗》の間にトーマスが飛び出し、《怪盗》の腹に左ストレートを入れる。


「ぐはぁ!」


 《怪盗》の背後、クラウスが短剣を握り直し勢いよく胸腰に刺す。


「ぐっ!貴様らぁ!」


「大丈夫ですか!アルセーヌ!」


 そこへジャックが走って駆け付ける。ジャックは幾本もの刃物を生成するとそれを星影たちに投げ放つ。


「クソッ!」


「いっ!」


「チッ!」


 無数の刃物をかわそうとするが、全てを避けきることは出来ずに刃物は星影たちの体を掠めていく。一方、神木が向かったシエル達が閉じ込められている剣山の檻は未だ破ることが出来ずにいた。そこへ、神木が辿り着き


「すまない。今ここから出す。」


 神木は腰に下げた刀を抜刀する。


「《絶対切断》!」


 そう叫び刀を凪払う。すると、シエル達では壊すことのできなかった剣山の檻は一刀両断され、光の粒子となり消えていった。


「これが、《絶対切断》の威力。味方ながら恐ろしいね。助かったよ。ありがと。」


「神木、感謝するわ。」


 二人の感謝に神木は「気にするな」と答える。シエルは敵の方へ向き直ると


「さあ、ここから倍返しといこうか。」


 と《怪盗》と《殺し屋》を見据える。

キャラクター紹介

・《殺し屋》ジャック・ザ・リッパー

 元《整合騎士団》の《邪神》に所属していた男。名前は本名ではなくコードネーム。《世界政府》から指名された人物を処刑することが使命であり、任せられた依頼は必ずこなしていた。


・《怪盗》アルセーヌ・ルパン

 元《整合騎士団》の《邪神》に所属していた男。ジャックと同じく名前は本名ではなくコードネーム。《世界政府》が求めるモノを奪取することが使命であった。


皆さん、いかがだったでしょうか?

穴の下まで辿り着いた星影たちを待っていたのは元《邪神》にして《プレデター》に寝返った元政府直属の男たちだった。

星影たちは仲間と協力し、困難を打開し《殺し屋》と《怪盗》と対峙する。

次回第五話 戦いの結末

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