第三十五話 太陽の円卓騎士
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第三十五話を投稿させていただきました。
魔王軍との交戦後、《暁》は他国へ魔王軍の存在を報告するべく動き出す。
そして、アリスとヤミは南の王国エーデルを目指すことになる。
是非お楽しみください。
アリスとヤミは南の王国を目指しフロンティアを出た。
「アリスちゃん、魔王軍と戦ったんだよね?どうだった?」
「うん。凄く強かった。《プレデター》以上だと思う。一人は倒したんだけど、他に八人いるらしくて。」
「え?でも倒したんだ。」
「でも、ルベルとアランがいなかったら無理だった。」
「そうなんだね。私、もっと強くならなきゃ。三人が戦ってたのに私達は何もできなかった…。」
「みんなで強くなろう。そしてシエルさんと星影を救いだそう!」
「そうだね!」
アリスとヤミが会話をしながら先を進んでいるその時
「見つけたわぁ!トリスタン!」
グレーテンが空から舞い降りてきて、ドラゴンの姿に変貌する。
「っ!グレーテン!」
「あら、名前覚えてくれてたのね。」
「こいつ?」
ヤミの問いに
「そう。アヴァロン九姉妹の一人。グレーテン。」
とグレーテンは名乗る。
「あなた達が別れて行動するって聞いてね、少人数の所を潰そうって話が出たの。ランスロットとモードレッドがいない今なら、トリスタン!あなたに勝てるわぁ!」
アリスは札を持ち構える。そして瞳が青色に輝く。ヤミも戦闘態勢に入り
「出ておいで!ブラックナイト!死神ちゃん!」
と二体の式神を召喚する。
「へぇ!召喚出来るのね!でも無駄よ!」
グレーテンは黒い炎を吐く。
「符術!光!」
アリスが展開した光の壁が自身とヤミを囲い、炎を防ぐ。
「その能力!前もだけど間接技を防いでるだけよね?」
グレーテン、もといドラゴンは空へ舞うと光の壁を踏みつける。光の壁は瞬く間に硝子の破片のように砕け散る。アリスとヤミは振り下ろされるドラゴンの前足を躱し
「符術!雷!」
アリスが放った雷がドラゴンを撃つ。しかし効果はいまひとつ。グレーテンはすぐに尻尾を振りアリス達を払い退ける。
「きゃぁぁ!」
「あぁ!」
二人は倒れ、重傷を負う。アリスはすぐに回復をするが、完治する前にドラゴンの尻尾がアリス達を叩き潰す勢いで振り下ろされる。
「はぁっ!」
その時、赤い炎が舞いドラゴンの尻尾が一刀両断される。
「な!何が!」
グレーテンが自身の尻尾が切断されたことに驚いていると、アリスとヤミの目の前に大柄の男が屈み二人の様子を伺っていた。
「大丈夫ですか?お嬢さん方。ここは私に任せてください。」
「っ!お前!その炎は!まさか!」
「私は南の王国、エーデル近衛騎士団団長、ダルヴィッシュ!」
「そんな!お前のその瞳!その炎!間違いない!ガウェイン!」
「何の事かはわからんが、ここでお前を斬る!」
「あの!そのドラゴンは魔族です!アヴァロン九姉妹の一人!グレーテンです!」
アリスの声にダルヴィッシュは
「グレーテン。この世の全てのものに変貌する能力を持つとされる伝説の魔女。その名を名乗るとは、どういう考えをしているのか?」
「それは私の名前よ?名乗っちゃいけない?」
「構いませんが、死んだ魔女の名を名乗るとはあまり良くないのでは?」
「あなたは勘違いしている。私は魔王様によって蘇った!アヴァロンの九姉妹が一人!グレーテンよ!」
それを聞いたダルヴィッシュは目の色を変え
「死者蘇生だと!あれは禁忌だ!死者蘇生にはそれ相応の生け贄を差し出す必要がある!」
「ええ。魔王様は北の地にいる人間を皆殺しにしてそれを生け贄にし私達を蘇らせたのよ!」
「くっ!許せん!悪め!」
ダルヴィッシュは剣に炎を纏わすとドラゴンへ向かって走り出す。
「死になさぁい!」
ドラゴンは黒い炎を吐く。だが
「シャイニングブレイク!」
黒い炎を真っ二つに切り裂き、跳躍したダルヴィッシュはドラゴンの頭上まで飛び上がる。
「何ぃ!」
「シャイニングストライク!」
上空からダルヴィッシュはドラゴン目掛け落下していき、燃える剣をドラゴンの頭に突き刺す。
「グァァァァァァ!」
ドラゴンはグレーテンの元の姿に戻る。
「くっ!太陽の円卓騎士!調子に乗るなぁ!」
グレーテンは分身し騎士に変貌する。三体が連続で攻撃を仕掛けてくるが
「サンシャイン!」
ダルヴィッシュは剣を地面に突き立てるとそこから炎が回りに広がり爆発する。
「ぐぁぁぁ!」
グレーテンは業火の炎に掻き消され本人一人だけになり、姿も元に戻る。
「なんて…威力…。」
変身していたとはいえダルヴィッシュが与えたダメージはかなり蓄積されているように見える。
「終わりだ!」
「はっ!」
ダルヴィッシュがグレーテンへと一瞬のうちに間合いを詰める。グレーテンは剣で防ごうとするが
「サンライジング!」
ダルヴィッシュの斬り上げの攻撃によりグレーテンの胸元は剣と共に切り裂かれる。
「がぁ!」
グレーテンは倒れると灰になり消えていく。ダルヴィッシュは剣を鞘に納め
「お嬢さん方、もう大丈夫ですよ。なっ?怪我が治っている!」
ダルヴィッシュが見ていない間にアリスとヤミの怪我が治っていることに驚愕したように目を見開く。
「あ、私が治癒しました。」
「おぉ!素晴らしい力だ!」
アリスの返答にダルヴィッシュは目を輝かせるように興味を示す。
「あの、助けていただきありがとうございます。」
「ありがとうございます!」
アリスとヤミは頭を下げると
「止めてくださいよ。私は為すべき事を為したまでです。しかしお嬢さん方は大変ですね。あんな奴に出会してしまうなんて。」
「あの、その事なんですけど。」
アリスは口を開くと
「私達は今動き出している魔王軍の情報を南の王国に伝えに行くところ、彼女に再会してしまったんです。」
「再会と言いますと、お嬢さん方は一度彼女と戦っているのですか?」
「はい。詳しいことは南の王国の国王様にもお話ししたいのですが宜しいですか?」
「もちろんです。遅くなりましたが私、エーデル王国近衛騎士団団長のダルヴィッシュと申します。」
「フロンティア王国、ギルドメンバーのアリス・テイラーです。」
「私もフロンティア王国ギルドメンバーのヤミです。」
「アリス殿にヤミ殿ですね。ではエーデルまでご案内します。」
アリス達はダルヴィッシュに着いていき南の王国、エーデルへ向かった。ダルヴィッシュが乗っていた馬車にアリスとヤミは乗せてもらいエーデルへと辿り着く。
「ここが我が王国、エーデルです。」
大きな門を抜けるとそこはフロンティアよりも活気のある明るい王国があった。
「てか、暑くない?」
「確かに、少し暑いね。」
ヤミとアリスはそんな会話をしていると
「もちろんです。ここは最南端に近い王国なので、東の王国フロンティアに比べると比較的暑いですからね。さあ、では王城へ向かいましょう。」
アリスとヤミはダルヴィッシュに着いていき王城へ向かう。
「ダルヴィッシュ様!お帰りですか!」
「ああ!ダルヴィッシュが帰ったぞ!」
一人の女性に声をかけられたダルヴィッシュは彼女の方へ振り向き大きく手を振って応えた。
「ダルヴィッシュ様!今年も良い作物が出来ました!ぜひ食べていってください!」
「ぜひとも後でいただくよ!残しておいてくれよ?」
「もちろんですとも!」
農夫もダルヴィッシュを見つけると明るく声を掛ける。彼にもダルヴィッシュは笑顔で応える。そこへ
「わぁ!ダルヴィッシュ様が帰ってきた!おーい!ダルヴィッシュ様!」
「おぉ!少年!今日も元気だな!」
ダルヴィッシュは子供達にも手を振り、笑顔で接する。
「ダルヴィッシュさんはとても民衆に慕われているのですね。」
アリスがそう言うと
「そうなのかもしれません。皆、明るくいい人達なんです。私もそんな皆のことを慕っています。」
「ダルヴィッシュさん男前だし素敵ね!」
ヤミの言葉にダルヴィッシュは恥ずかしそうに頭を掻く。
「ヤミ殿、恥ずかしいですよ。でもありがとうございます。さあ、お二人とも着きましたよ。ここがエーデル城です。」
アリス達はダルヴィッシュと共にエーデル城へ入城する。
「ダルヴィッシュ様!遠征お疲れ様です!」
「ああ。皆も頑張っているか?」
「もちろんでございます!」
「それは良いことだ。これからも頑張ってくれ!」
衛兵達にダルヴィッシュは励ましの言葉を掛ける。
「ハハッ!」
「さあ、行きましょう。」
ダルヴィッシュはアリスとヤミに声を掛け、王の間まで向かう。
「大王様。ダルヴィッシュ、ただいま戻りました。」
「おぉ!ダルヴィッシュ!よくぞ戻った!」
「はっ!…大王、ご報告がございます。」
「どうしたのだ?」
「先程、遠征から帰還する最中、ここにおられるアリス殿、ヤミ殿と出会いました。彼女たちは、東の王国フロンティアのギルドメンバーであり、大王様にお話があるとのことでございます。」
「そうか。二人がフロンティアから参ったアリスにヤミであるな?」
「はい!フロンティアギルドメンバー《暁》のアリス・テイラーです!」
「同じくフロンティアギルドメンバー《暁》ヤミです!」
「それで私に話とは何かね?」
アリスは
「はい。私達はギルドの遠征最中にとある小さな集落に立ち寄りました。そこでは魔族達が人に化けており、私達は襲撃に合いました。その後、近くのアルファと言う街に立ち寄ったところ、そこの王様はアヴァロン九姉妹のグレーテンと言う姿を変える事のできる者でした。その他にもアヴァロン九姉妹のグリートン、グリートーネアとも遭遇し、グリートンの討伐に成功しました。その中で私、そしてギルドの仲間であるルベル・スカーレット、アランが伝説の七勇者と同じ力を宿していることが判明しました。こちらのダルヴィッシュ様もグレーテンにガウェインと呼ばれていたことから伝説の七勇者の一人だと思います。」
「つまり、伝説の七勇者の力を宿した者があと三人いると言うことかな?」
「はい。そう言うことです。そして今回こちらに赴いた理由は、魔王軍が動き始めた事をエーデルに報告に上がり、対魔王軍の為にお力添えを願いに参りました。」
「相分かった。それならばエーデルは惜しむことなくフロンティアに協力しよう。」
「感謝いたします。そして、他のギルドメンバーは北と西の王国への報告に行っているため、四つの王国の力を合わせ魔王軍を討伐出来ると思います。」
「何だと!北と西に向かったのか!」
大王は少し焦ったような反応をする。
「は、はい。」
「まずい。すぐに引き返す様に伝えなければ手遅れになるぞ!」
「それはどういう?」
大王の言葉にアリスが疑問を抱くと
「その二カ国は魔王軍とアンデッド軍が占拠している!」
「そ、そんな!ヤミちゃん、どうしよう!」
「私が北に行くわ!アリスは西に行って!では大王様、失礼いたします!」
ヤミとアリスは慌ただしく走り掛けると
「待たれよ!」
と大王の声が王の間に響き渡る。
「はい!何でしょうか?」
ヤミが振り返ると、大王は
「ダルヴィッシュ、お前の部下をヤミと共に向かわせろ。」
「御意!ではヤミ殿、しばらくお待ちください。」
そして大王は続けて
「ダルヴィッシュ、お前はアリスに着いていけ。」
「はっ!」
ダルヴィッシュは大王の言葉に頭を下げたあと、頭を上げ城内に控えているの者を呼ぶ。
「アルケイン!アルケインはいるか!」
「こちらに。」
ダルヴィッシュの呼び声にアルケインと呼ばれた男が王の間に現れ、大王に一礼をしてからダルヴィッシュに向き直る。
「アルケイン、今からフロンティアから参られたヤミ殿と共に北の王国へ向かってくれ!ヤミ殿の仲間が向かったらしい。仲間達をエーデルまで連れ帰ってくれ。」
「御意。ダルヴィッシュ様。」
「はじめまして、ヤミです。」
「アルケインだ。よろしく頼む。」
「こちらこそ。」
「では頼んだぞ。アルケイン。」
「ハハッ!」
「ではアリス殿西の王国へ参ろう。」
「はい!」
ダルヴィッシュはアリスから視線をずらすとこの場にいる衛兵達へ視線を向け
「衛兵達よ!私とアルケインは出る!大王様と国を頼むぞ!メルダインが帰ってくるまで気を抜くな!」
「ハハッ!ダルヴィッシュ様とアルケイン様もお気をつけて!」
「ああ。では参るぞ!」
ダルヴィッシュ一行とアルケイン一行は馬車に乗り北と西へ向けて動き始めた。
皆さん、いかがだったでしょうか。
アリスとヤミがエーデルへ向かう最中、アヴァロン九姉妹の一人であるグレーテンに出会う。二人のピンチに駆け付けたダルヴィッシュはエーデル王国近衛騎士団の団長であり、七勇者の一人であるガウェインであることが判明する。
そして、アリスとヤミは北と西に向かった仲間たちに危険を知らせるためダルヴィッシュ、アルケインと共にそれぞれの地へ向かうこととなる。
次回第三十六話 北の地、西の地




