第三十一話 魔族
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第三十話を投稿させていただきました。
遠征クエスト中にある集落が魔族に襲われているところに遭遇したルベルたち。彼らが向かった集落は無事なのか。
是非お楽しみください。
集落は壊滅的で人の気配一つない。だがそこら中に赤い血が零れていた。
「遅かったか。」
クラウスがそう呟くと
「だ、誰、か。」
と掠れた声が崩壊した家の中から聞こえてくる。リリィはすぐにその家へ近づき、瓦礫をどかす。そこには男の人が倒れている。リリィは男性の脈を測り
「アリス!まだ息がある!治療を!」
「は、はい!」
アリスは男性へ駆け寄り治癒能力を発動する。男性の傷は塞がり、次第に体を起こす。
「た、助けてくれ!魔族が!」
「いや、もう魔族はいない。安心しろ。」
とクラウスが男性に声を掛ける。
「そ、そうか。…助けてくれてありがとう。なあ、あんた達、他の奴らは見なかったか?」
「すまない。見ていない。」
男性はその答えを聞くと嗚咽を漏らして涙を流した。アリスは男性の背中をそっとさする。
「すいません。私達がもう少し早くにここに来ていれば、皆さんを救えたのかもしれませんでした。」
「…何も、あんた達が悪いわけじゃ、ない。謝らないでくれ。」
男性から少し離れていたルベルは
「魔族の姿はないが、まだ気配は残ってる。気を付けろ。」
リリィとアリス以外の全員にルベルはそう伝えると、男性の方へ歩いていく。
「なぁ、あんた。」
「な、何だ?」
「魔族はどこへ行ったか見たか?」
「わからない。」
「そうか。ここの住人はどのくらいいた?」
「三十人程だ。」
「なるほど。ずいぶんと演技が得意なんだな。」
「ルベル!何てことを言うんだ!」
リリィが立ち上がりルベルの胸ぐらを掴む。
「この人がどんな悲しみを受けたのか考えられないのか?」
「ああ。」
「外道が!」
「リリィ、冷静になれ。」
「無理だ!お前がそんなクズだとは思わなかった!」
「はぁ。リリィ。魔族はどこへ行ったかこの男は見ていないと言った。そして集落には三十人程度人がいたらしい。そして、今俺達は三十体程度の魔族に囲われている。」
「だから何だ!それがこの男性に関係があるのか!」
「こいつは魔族だ。」
「きゃぁ!」
突如、アリスの悲鳴が聞こえリリィが振り向くと
「吸血鬼ゴトキガ!」
さっきの男性は巨大な魔物に変化しており、アリスを片手で掴んでいる。直後、集落の回りを魔物達が現れ囲う。
「ルベル!魔族だ!」
トーマスが叫ぶ。ルベルは
「全員!魔族を討て!」
ルベルはアリスを掴んだ魔族の顔面に蹴りを入れる。
「グァァ!」
そして血液で刃物を形成し魔族の腕を切り落とす。
「クッ!ヨクモォ!」
ルベルは刀を血液で形成し、魔族の首を跳ねる。
「アリス、怪我はないか?」
「ええ。」
「キツネ、アリスを頼む。」
「分かった。」
「リリィ、他の魔族も討ちに行くぞ。」
「…了解。」
ルベルとリリィはトーマス達が戦っている場所まで走る。
「ふっ!」
「オラオラ!」
クラウス、トーマスは前線で魔族達とぶつかっていた。スティカと茜は援護射撃を行う。トーマス達から少し離れたところではヤミが死神、鬼、ブラックナイトを召喚し戦っていた。リリィはトーマス達の元へ行き、ルベルは皆がいる反対側の魔族の元へと走る。
「すまない!遅れた!」
「リリィ、大丈夫か?」
「問題ないわ!」
リリィはバスターソードで魔族達を次々に斬り倒す。ルベルは魔族達の足下から血液で出来たニードルタワーを生成し魔族達を貫く。
「グァァ…。」
魔族達は次々に灰と化し消えていく。ヤミの死神は魔族達の首を斬り落としていく。鬼は金棒で叩き潰す。そしてブラックナイトは影の中を自由自在に移動しながら、魔族の死角から攻撃をする。トーマス達も剣撃と銃撃の連携で魔族達を倒す。魔族を倒し終わった面々は皆集落の中心へ集まる。
「やっと終わったぁ。腹減ったなぁ。」
トーマスがそうぼやいている。
「そうだな。近くに街がある。そこへ向かうか。」
ルベル達は街を目指して歩き始める。
皆さん、いかがだったでしょうか。
人に化ける魔族。
それは一つの集落に住んでいた人々が魔族だと今の今まで気づかれることなく平穏に暮らしていた。
もし他にも人に化ける魔族が世界に蔓延っているのであれば、いつ彼らが人の姿を破り人類を攻撃するか分からない。そんな『もし』は起こってはならない。
《暁》の遠征クエストはまだこの先も続いていく…。
次回第三十二話 とある街




