第三話 対《プレデター》組織
皆さんこんにちは。
ヤミです。
本日は第三話を投稿させていただきました。
神木を救った謎の五人組。
彼女達は何者なのか。そして星影達は彼女らに出会い何を知るのか。
是非お楽しみください。
大きな氷柱は光の粒子となって消えていった。それはとても幻想的な光景だった。しばらくしてから、手負いの先生と共にさっき巨人と戦っていた集団が教室へと入ってくる。
「お前ら、無事か?」
先生は少し苦しそうに問う。
「はい!先生は大丈夫なんですか?!」
悠都の元気の良い声に少し安心したように先生は
「ああ、大丈夫、だ。」
と答えた。先生が無事で一安心しつつ、星影と茜はさっき戦っていた集団に視線を向ける。
「あの、あなたたちは?」
茜の質問に白髪の少女が一歩前に出て自分の胸に手を当て語り始める。
「自己紹介が遅れたね。私はシエル。対 《プレデター》組織《整合騎士団》、その内の《暁》というグループのリーダーをやってるの。よろしくね。」
次に赤髪の女性が名乗る。
「アタシはリリィ。《暁》のサブリーダーをやってるわ。」
次に軍服を着た金髪の青年が明るい声で
「俺は《暁》のトーマス。よろしくな!少年少女よ!」
そして、絶体陰キャの極みのような黒髪ロングヘアーの男が小声で
「俺はクラウス。同じく《暁》のメンバーだ。」
最後にセミロングで茶髪の女性が
「私はスティカと申します。よろしくお願いします。」
「《暁》は私たち五人で《プレデター》を滅ぼすために活動してるの。で、君達のこの先生も対 《プレデター》組織の一員なの。所属は《龍神》。なぜ教師をしていたのかは知らないけどね。」
「あぁ、それは俺が《龍神》から外されたからだ。」
「何で先生が?」
悠都の問いに神木先生は声を低くして
「《龍神》にはお前みたいな弱い奴は要らないってさ。そう言われて脱退させられたんだ。」
「なるほど。じゃあ私達と来ない?」
神木先生の話を聞き、シエルは自分のグループに来ないかと提案した。
「いいのか?」
「もちろん。私達は人数が少ないからさ。大歓迎だよ。」
そしてシエルは視線を星影達に向けて言う。
「君たちも一緒に来る?」
すると、悠都は立ち上がり
「俺を連れてってください!世界を救いたいんです!そして、もう一度地上で!みんなで暮らしたい!」
威勢の良い声でそう答えた。シエルは微笑み
「君はやる気に満ちてていいね。採用だよ。」
「なら俺も行く。悠都一人だけに行かせない。」
「私も!みんなと一緒に行くよ。」
星影達の答えを聞き、シエルは嬉しそうに微笑み
「決まりだね。これで《暁》も賑やかになるよ。昔のようにね。」
と遠くを見るように、どこか悲しげで、でも嬉しそうに独り言を溢した。それから星影達は、龍神高校を拠点として、天井に開いた穴の監視をしていた。
「いやぁ、仲間が増えてよかったよ。これで九人だね。ってことで改めて自己紹介していこうか。まずは新入りの隆一からしてもらおうか。」
シエルは先生に自己紹介するように促す。
「じゃあ、改めまして、元《龍神》の神木隆一だ。俺の能力は《絶対切断》だ。よろしくな。」
「次は悠都。」
「はい!五十嵐悠都です!能力はありません!よろしくお願いします!」
「次に茜。」
「はい。夕凪茜です。私も能力はありません。よろしくお願いします。」
「では次に影塚。」
「俺だけ名字呼びなのか?」
「じゃあカゲで。」
「適当すぎない?」
「ほら、早く。」
「影塚星影です。能力は《影》です。」
「はあ!?お前能力あったのか?!何で教えてくれなかったんだよ!」
と、悠都が興奮して聞いてくる。
「俺を育ててくれた、家族みたいな人がいて、その人に言うなって言われたんだ。ただ、能力を持った奴に出会ったなら、そいつには伝えろって。」
「じゃあ前言ってた亡くなった家族ってのはその人の事なの?」
茜は星影にそう聞く。
「ああ、そうだ。」
「その人の名前、何て言う人?」
シエルが真剣な顔で聞いてくる。
「名前は、暁彦。」
「やっぱりね。その人はカゲ、あなたのおじいさんだよ。影塚暁彦。《暁》の創設者であり、元《整合騎士団》のメンバーでもある、私達の恩人なんだ。」
星影はまさかの育ての親は自身の祖父だったと言う衝撃の事実を知ることになった。
「そして、君が《影》の能力が使える理由。それは暁彦さんが君に能力を託したから。能力ってのはね、他人に譲渡することができるんだ。」
「そうだったのか。」
「さて、自己紹介のはずが脱線してしまったね。続きといこうか。では改めて《暁》のリーダー、シエルだよ。能力は《氷》。よろしくね。」
そしてシエルはリリィに促し
「《暁》サブリーダーのリリィよ。能力はないわ。」
「俺はトーマス!能力、ないぜ!」
「クラウスだ。能力はない。」
「スティカです。能力はありませんが、狙撃が得意です。よろしくお願いします。」
この皆が、新《暁》のメンバーだ。これからたくさん大変なことがあるだろうが、この皆となら何でも超えていける気がする。
「なあ、俺達はみんなのこと何て呼べばいいんだ?」
と悠都が聞くとシエルは
「これからは仲間なんだ。気軽に呼び合えばいいよ。」
悠都は躊躇いなく
「わかった!じゃあシエル、早速なんだけど、能力ってどうやって手に入れるんだ?」
悠都は目を輝かせて答えを待つ。
「能力を得るためには、大きく二つの手段があるの。一つは死んだ相手から奪う。そしてもう一つが《世界政府》に実力を認めてもらいそこで能力を貰うかの二択だね。」
「なるほど!」
悠都は自分も能力を手に入れることが出来る可能性を知り、満面の笑みで納得していた。だが、少し顔をしかめ
「てことはよ、星影は亡くなったじいちゃんから能力奪ったってことにならないか?」
悠都の疑問は星影も気にはなっていた。シエルはその疑問にそれはねと答え始める。
「能力者が死ぬとその血縁関係に能力が受け継がれるんだ。」
それを聞き星影は
「いつ能力を受け取ったのか記憶が無かったんじゃなくて、唐突に俺に受け継がれただけってことだったのか。」
と自分の中で生まれていた疑問に納得する。
「そう言うことだね。」
シエルは一息おいて、パンと手を叩き
「さて、敵は穴から入って来なそうだし、そろそろ穴を塞ぎに行こうか。」
「アナタたちの初めての任務ね。気合い入れて行きなさいよ。」
リリィが星影達三人に声をかける。スティカとリリィは万が一の事を考慮し教室に残ることになったが、他の皆は天井に開いた穴を目指して動き始める。
キャラクター紹介
・シエル
《暁》のリーダー。年は星影達と同じく十七歳。孤児だったが暁彦に拾われ今に至る。
・リリィ
《暁》に所属している。シエルと同じく十七歳で昔は孤児だったが暁彦に拾われ今に至る。
・トーマス
《暁》に所属している。シエルと同じく十七歳で昔は孤児だったが暁彦に拾われ今に至る。
・クラウス
《暁》に所属している。シエルと同じく十七歳で昔は孤児だったが暁彦に拾われ今に至る。
・スティカ
《暁》に所属している。シエルと同じく十七歳で昔は孤児だったが暁彦に拾われ今に至る。
・影塚暁彦
星影の祖父。《暁》を創設した人物。《影》の能力の前任者。
皆さん、いかがだったでしょうか。
謎の五人組は《暁》と呼ばれる対組織の一員であった。
そして《暁》の創設者は星影の祖父である影塚暁彦だったことが明かされた。
星影達は《暁》に所属し《プレデター》を倒し、奪われた地上を奪還するするために戦うことを決意した。
次回第四話 対峙