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第4話 手のひらクルックルなんですけど!?

 婚約会場で、謎の組織にオランシェが殺される寸前だ。


 ここに居る大物貴族が皆殺しにされると、世界は大きく変わってしまうだろう。万一のために厳重な警備を敷いていたはず。それを突破した組織だ。国王様でさえも想定外の強さだろう。


 こんな状況、どうやったら変えられるんだよ。もし私が普通の勇者ならそう思ったかもしれない。

 でも私は違う。



    ─《バチバチッ》─


        ◇

       ◇

      ◇  ◇

       ◇ ◇

         ◇

        ◇

       ◇


 雷を飼い慣らした様に操り、7色のオーラを纏った。これは、魔力量が『絶対濃度』に達した時に現れる現象だ。



 最強の技ではあるものの、力加減はしたので謎の組織も死んでないはず。



 黒いフードを被った組織…ブラックのフード…黒い食べ物…あーもうめんどうくさいから英語を直訳して黒ゴマ達とでも呼んでおこう。



 婚約会場に侵入してきた黒ゴマ達は、きれいに地面にひれ伏し釣れたての魚のようにぴちぴちと跳ねている。しっかり電気が通ったようだ。



 おっと、電気ショッカーで魚を捕まえることは法律で禁じられているから気を付けるんだよ。

 私が仕留めたのは罪人だからだからセーフセーフ。

 ドラゴンのほうは、脳細胞を破壊しておいたから暴れる心配はないだろう。



 いつまた暴れるかわからないからさっさとコイツらを拘束しておこう。


 そう考えた私が黒ゴマ達に近づくと、ある貴族の声が響いた。



 「雷の女神様!!命を救っていただきあきありがとうございます!!」



 その途端、会場全体がざわついた。


 「もしや、やつ、いや、あのお方は本物の女神なのかもしれん。あの魔力量は人間のそれではない。それどころか、あの魔法は伝説の……」


 「レーツェル・ハイリッシュ様って、もしかして……本物の女神!?」


 「嘘だろ……俺達、女神様をこの目で見ているのか……」



 私はみんなの会話を片耳で聞きながら、魔法で縄を出して手足を拘束していく。



 そこで、ある女性が爆弾発言を投下してしまう。


 「雷の女神様を婚約破棄した王太子様、いえ、クソ王太子野郎は死刑にするべきではないでしょうか?」


 その言葉に、場は再び混乱を招いた。



 「少々大袈裟な気もしますが、確かに、神を侮辱した行為は許されることではないですよね」


 「いやしかし、まだレーツェル様が女神だと決まったわけでは…」

 「馬鹿か、あれが女神以外に使えるわけがないだろう」

 「そうよ。あれが女神様以外の何者だっていうのよ!」



 要約すると、私の婚約相手が死刑になる可能性が大きくなっているということである。



 「では、王太子にベタベタと抱きついていたあの美女も死刑にするのか?」


 周りの人たちの発言が、火花を散らすように被害を大きくしていく。



 「待て、レンゲは俺の命令に従っただけだ。全責任は俺にある」

 オランシェがとっさに叫んだ。

 人を庇う勇敢な心はどんな時でも忘れないのだろう。


 レンゲさんはペコリと頭を下げてその場を離れた。



 「まさか本当にレーツェルが女神様だったなんて知らなかったんだ。レーツェルのことが嫌いで、浮気してる芝居を打ったわけではない。悪い行いをするとそれが返ってくる事を知り、次に生かして欲しいと思ったからだ。どうか、婚約破棄は取り消させてくれ!」



 この、生死がかかった緊迫した状況で、よくもこんなに説得力のある発言をできるものだ。

 私なら「ひぃ、許してください!なんでもしますからぁ」なんて情けない言葉がとっさに出てしまいそうなのに……。



 「例えレーツェル様が悪い行いをしていたとしても、普通の人なら口を揃えて『結婚してくれ』と言いたくなるような美貌だ。王太子様もそれなりの覚悟があっただろう」


 その言葉を聞いてか、ようやく貴族たちの罵詈雑言が聞こえなくなった。


 ふぅ、よかった。何とか治まったみたいだよ。


 拘束をしている途中、突然黒ゴマの1人が物騒な魔法の詠唱を始めた。

 「燃え盛る炎の龍よ、今ここに──」


 ドスッ


 私は脊髄反射で黒ゴマの一人を蹴り飛ばしてしまった。

 人を殺す魔法の詠唱を唱えたら蹴られることぐらいわからないのだろうか。


 それを見た髭を蓄えたおじさんが語り出した。


 「今、奴が唱えていたのは上級炎魔法。どんな術者でも数秒は集中しないといけない。それを一瞬にして判断し、防御をするより先に攻撃を行った。流石女神様ですな」


人を蹴っただけで褒められるなんてなんて幸せなのだろう。

と、若干変な扉を開きそうになったレーツェル。


 魔法を使われると危ないから、詠唱できないようにちゃんと口枷までつけるか。


 といった感じで、私はまた流れ作業に移った。


 「レーツェル様は本当に人々を救われていたのか。今まで疑っていた自分を許せないな」

 「あぁ、今から我々もレーツェル様の宗教に参加するべきではないだろうか」


 国王様が立ち上がり、両手を広げて演説が始まった。


 「この国には雷の女神、レーツェル・ハイリッシュ様が奉られなさった。喜べ民衆よ!この国は平和になるぞ!!」


 王様急にどうした!?冷静になってくれ!?

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