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第3話 神生、始まったんですけど!?

 え!?偏差値70あれば宇宙を支配できるの!?

 なら偏差値84の私はどれぐらい強くなるんだよ!!女神にでもなっちゃったりして……。



 私のプレイしていたゲームの世界に転生できたらきっと楽しいだろうな。


 「転生先はゲームとかに出来ませんか?」



 「残念だけど、滅びかかけの世紀末ワールドに転生させちゃいまーす。上からは『いい感じのところに飛ばしてくれ』って言われてるけど、『ワイにとってはここがいい感じのとこなんスヨー』って言えばいいだけのことよ。多様性の時代だからねん。第三の人生はないと思え〜」


 変な動きをしながら私を挑発してきた。


 この神、故意に私を苦しめようとしてる!?

 せっかくだし、ちょっと遊んでみようかな。



 「もし、私の偏差値が70以上だったら何かしてくれませんか?」


 「いいだろう。『上司の目の前で裸になって踊ってやるよ!』なんなら約束を破れない様に契約してやってもいいぞ?」

 そう言って魔法陣の様なものを展開し始めた神様なのだが、私的には転生特典みたいなのが欲しかった。



 「契約完了!これで俺は約束を破れなくなった。せっかく俺がここまでしたってのに、偏差値70無くて悲しいねぇえええ。強がっても意味ありましぇーん!勉強せずにゲームばっかりやってた自分を恨め!ひゃっはあああ」



 【それでは、偏差値84の東郷聡美を異世界に転生させます】





 「え、は?ちょ、ま」





 神のガチ焦りっぽい声を最後に私は転生した。

 (神なんだから、ちょっと力を使えば私の偏差値を確認できただろうに……)



◆◇



 オギャー、オギャー


 「#7:@;@8。943;8:955958「@4@*@@43/@」


 (痛い、痛い痛い)


 え、もしかして産まれた直後からスタート?

 もっとこう……5歳ぐらいになってから前世の記憶思い出すのを想像してたんだけど……。


 それにしても痛い。苦しい。

 そういえば聞いたことがある。出産は、母も辛いが、赤ちゃんもかなり辛いらしい。

 これから赤ちゃんを見かけたら、「よく頑張って生まれてきたね!ようこそ、世界へ」と言いたくなるだろう。

 産まれるのはそれぐらい大変なことだ。



 『痛覚を軽減しますか?』

 ▷YES

  NO


 『翻訳機能を搭載しますか?』

 ▷YES

  NO


 『千里眼を使用しますか?』

 ▷YES

  NO


 『自動操縦を行いますか?』

 ▷YES

  NO


 なんか出てきた!?これが神様から貰った力なのかな?

 全部YESにしといたほうがいいやつだよね。


 「いつ攻撃がくるかわからねぇ!早く川に飛び込め!」

 「っ……せめて。せめてアリスだけでも……神様……どうか」


 突然感じた心臓が浮く感覚。


 360度の視界が開け、一気に情報が流れ込んだ。

 正面には、化け物とそれに対峙しているボロボロの男。

 後ろは、ハリウッド映画で出てきそうな断崖絶壁。

 下には、殺人事件でも起こりそうな濁流の川が流れているのが見える。


 信じられないことに、私は母親に抱えられて落下していた。



 このことから推測するに、

 化け物に追い詰められたタイミングで出産され、川に飛び込むことを余儀なくされたのだろう。



 流石に無理だって!この高さから落ちたら死ぬって!!アニメみたいに都合よく助かるわけないからっ!!

 神様ひどくない?もうちょっと第二の人生楽しませてよ!!


 さらに、その化け物がこちらに向かってビームを放とうとしている。

 考え得る最悪の状況だろう。




 【危険を感知しました。目標を排除します】




 システム音声の様な声が頭に響いた次の瞬間。

 目の前の化け物は見る影もないチリになっていた。



 「え?」



 ひらひらと舞う摩訶不思議な花びらに囲またその状況で、私は母親を無意識のうちに抱えている。


 「どういう事?」


 凛とした鈴の様な声が響く。

 数秒してようやく、それが自分の声であることに気づいた。


 「私……赤子だったはずじゃ……どういう事?」


 【東郷聡美様の中央システムAI、《ゴッドノウズ》です。ただいまより、女神に昇格された上位存在のサポートを行います】




 ──すっかり忘れていた。



 『70!?お前の事はよく知らんが、オタクがそんなに勉強できる訳ないだろ!クククッ。それだけあれば宇宙を支配できるんじゃないか?ま、お前はみじんこ程度にしかなれないと思うがなぁ!!』


 という神様の言葉を。

 最初は、私をイラつかせるために大袈裟なことを言ってるのかと思った。


 だが、もしあの神の言葉が本当なら、私は簡単に宇宙を支配できるほどの力を持っているのかも知れない。



 私ならこの世界を平和にする事だってできるのでは?

 いや、そんなレベルじゃない。


 新しい世界を作る事だってできるんじゃないか?



 【聡美様の意図を分析。これより、生前プレイされていたゲーム世界の作成を行います】



 え、え、え、え!?話早くない!?



◇◆


 一方その頃


 私は神だ。

 今日は上司のお姉さんと食事をする日で、今ちょうど待ち合わせ場所に着いたところだ。

 もちろん俺は遅れて来たので、相手は長時間待っていただろう。


 だが、遅れて登場する俺もかっこいいので、むしろ感謝してほしい。


 「なにそのダサい服は……ちょ、なに急に脱ぎ始めてんのよ!!ぎゃあああああ!」


 あぁ、──すっかり忘れていた。俺はあの人間と契約していたんだった。

 俺はこんなことしたくない。なのに体が勝手に動くんだ。はは、まるで操り人形になった気分だよ。

 俺の契約は強力だ。流石俺。自分の首絞めてるけど。



  ーーーーーー

《《ウーウーウー》》

  ーーーーーー



 『事件発生。17番地区、裸で踊る変態が現れました。直ちに避難してください』


 「ワイの神生、こんなところで終わるんか?あぁ、しょーもない死に方はワイも同じか」

 それにしても格好悪い踊りだ。


 陸地に打ち上げられた魚と、生まれたての子鹿をミックスした様ななんとも言えない動き。

 それにこんなに大勢のギャラリー。


 普段はフル無視されるほど嫌われてるくせ、こんな時だけ目立ちやがって。



 遠くから完全武装した破壊神が数十人迫って来た。

 俺を逮捕するためだけに派遣されたのだろう。



 こっちは何も武装してないというのに。

 それどころか、最低限のものすら身につけていないというのに。



 「クソオオオオオオオオオ!!!」





 その後、彼を見た者はいないと言う。



◆◇



 93%という表示。

 これはゲーム世界が今どれぐらい出来上がっているかを表しているのだろうか。

 クソゲーのアップデート並に進みが早い。

 世界をそんなに一瞬で作れるのだろうかと少し疑いたくなるぐらいだ。



 【転生するキャラを選択してください】


 キターーー!

 そんなの決まってるよ!


 主人公「レーツェル・ハイリッシュ」にしますっ!



 再び迫り来る浮遊感。

 でも今度はさっきとは違う。水に浮かぶような気持ちよさ。


 次第に、雲に沈むような軽い重力を感じて目が覚めた。

 ベッドの上で寝ていたらしい。

 いつものホーム画面の風景だったので、主人公レーツェルの部屋だということがすぐに分かった。


 (成功した……?)



 目の前にいるのは前作の主人公「スピニオン・レンジェ」

 レーツェルの父にあたる人物で、筋肉質の堅苦しそうな男だ。



 「何を泣いているんだい?ハイ、ティッシュ。レーツェル・ハイリッシュだけにねっっ!!」


 突然父から放たれたギャグ。

 父は、一応元勇者である。


 正直リアクションに困った。

 深夜テンションなら確実に笑っていたが、今は世界の誕生を目の当たりにした記念すべき瞬間なのだ。もう少し余韻に浸らせて欲しい。


 「あ、あれ、私泣いてたの?ありがとう」



 (そうか。成功したんだ。憧れだったあのキャラに生まれ変わった)


 私には夢がある。この力があれば、それが叶うかもしれない。


 「全世界のイケメンと結婚したい」



 「レーツェル、結婚するのは100人までにしろ。我が家はそんなに広くないからな」



 やば、声に出てた……。

 てか100人まで許容できるんだ!?


 ゴッドノウズさんの力を使えば簡単に逆ハーレムを築けちゃうのかな……。


 【急激な変化を感じると、人格が破綻してしまう可能性があります。もしもの時はこちらが判断して対応しますので、暫くは『ちょっとすごい能力が使える人間』として生活してみてはいかがでしょうか】



 そっか。じゃあ、ひとまずは自力で魔法を習得してみよう。それも悪くない。

 雷魔法とか使えるようになりたいなぁ……。あ!あと、いつでもジュースが飲めるように生成魔法とかも使いたい!



 【自動操縦を停止しますか?】

 ▷YES

  NO


 【ゴッドノウズの力を一時停止しますか?】

 ▷YES

  NO



 まずはモテる方法の模索。

 人は、信用されてる人を信用する生き物だ。つまり、どうにかして支持を得なければならない。


 そうだ。






 「女神として人々を救おう!」


 (ゴッドノウズさん!いいこと思いついたから、ちょっと世界の法則ねじ曲げて!!)


 【はぁ、わかりました】


 なんか一瞬呆れられたような気がしたけど気にしない。

 こうして私は人々が安心して暮らせるような宗教を始めた。


 それからしばらく経ち、婚約式の日程が決まったので、マラカスでも振ってるのか?という動きで喜んでいたのだが。


 事件は起きた。

 黒いフードを被った謎組織に襲撃されたのだ。


 そして今に至る。

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