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第16話 王女様が混乱してるんですけど!?

「お世話になりました!」


ゾックとも仲良くなり、「またピアノを弾こうね」と約束もした。

ケディーさんからは、名残惜しそうに花束をもらい、もうここに住んでしまいたい気分なのだが、結婚式が迫ってきているので、もう王都に行く事にした。


「世話になったのはこっちの方だ。うちの馬車で王都まで送って行こう」


貴族が、それも侯爵様が、別の領地の人を自分の馬車に乗せると言うのは、好意の証。でも時間が無いので、できれば転移を使いたい。


(ゴッドノウズ、王都まで転移できる?)


【無論、可能です】


「大丈夫です!転移魔法が使えますから」


頭にハテナを浮かべるムート。


わかる。

わかるよ?

なら、なぜ最初は馬車で移動したんだって突っ込みたくなる気持ち。


出来るだけ神力は使いたくないから、いつもは馬車を使う。

でも、流石に王女様を無視することはできないので、今回だけ仕方なくテレポートを使う。

OK?


「では、なぜ行きは馬車で──」


「転移」



オランシェの妹、ローザ様を連れて孤児院にやって来た。


「あ、レーツェルお姉ちゃんが来てくれたよ!」


外で遊んでいた少女が、レーツェルが訪ねて来たことを皆んなに知らせた。

それを見たローザが、「ま、まぁ、嫌われてはないようね」と意外そうに言った。


(どんだけ疑われてたんだ……)


孤児院の中では、「会いたかったー」と抱きついてくる子供が沢山いる。


「このお姫様だれー?」


「わ、わたし?アンファン王国、第一王女、ローザ・フォン・フェザークよ!」


「すげー!本物のお姫様だー!」

「かわいいー」

「綺麗ー」

「絵本の中みたい!」


気持ちよさそうにふんぞり返るローザを見て、(私も最初気持ちよくなってたなぁ)と共感する。


「ファーがね、孤児を奴隷にしようとする人から守ってくれたんだよ!」


「すごっ!今日は特別にドラゴンステーキを振る舞っちゃおう!」


ローゼは、レーツェルが女神であることを信じていないため、適当な嘘でもつくのだろうと勘ぐっているが、その予想は大きく外れる事になる。


「ジャーン!これがドラゴンステーキです!」


何もないところから皿が現れ、その上にはほかほかの米と肉が乗っているのだ。

現実主義者が見たら、泡を吹いて倒れてしまいそうな超常現象である。


「っが、ほ、本当に……」


ローザは、心霊現象でも起きたかの様な表情なのだが、それとは裏腹に、のほほんと「いただきます」を始める孤児たち。


「どうなってんのよおおお!!」

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