第16話 王女様が混乱してるんですけど!?
「お世話になりました!」
ゾックとも仲良くなり、「またピアノを弾こうね」と約束もした。
ケディーさんからは、名残惜しそうに花束をもらい、もうここに住んでしまいたい気分なのだが、結婚式が迫ってきているので、もう王都に行く事にした。
「世話になったのはこっちの方だ。うちの馬車で王都まで送って行こう」
貴族が、それも侯爵様が、別の領地の人を自分の馬車に乗せると言うのは、好意の証。でも時間が無いので、できれば転移を使いたい。
(ゴッドノウズ、王都まで転移できる?)
【無論、可能です】
「大丈夫です!転移魔法が使えますから」
頭にハテナを浮かべるムート。
わかる。
わかるよ?
なら、なぜ最初は馬車で移動したんだって突っ込みたくなる気持ち。
出来るだけ神力は使いたくないから、いつもは馬車を使う。
でも、流石に王女様を無視することはできないので、今回だけ仕方なくテレポートを使う。
OK?
「では、なぜ行きは馬車で──」
「転移」
◆
オランシェの妹、ローザ様を連れて孤児院にやって来た。
「あ、レーツェルお姉ちゃんが来てくれたよ!」
外で遊んでいた少女が、レーツェルが訪ねて来たことを皆んなに知らせた。
それを見たローザが、「ま、まぁ、嫌われてはないようね」と意外そうに言った。
(どんだけ疑われてたんだ……)
孤児院の中では、「会いたかったー」と抱きついてくる子供が沢山いる。
「このお姫様だれー?」
「わ、わたし?アンファン王国、第一王女、ローザ・フォン・フェザークよ!」
「すげー!本物のお姫様だー!」
「かわいいー」
「綺麗ー」
「絵本の中みたい!」
気持ちよさそうにふんぞり返るローザを見て、(私も最初気持ちよくなってたなぁ)と共感する。
「ファーがね、孤児を奴隷にしようとする人から守ってくれたんだよ!」
「すごっ!今日は特別にドラゴンステーキを振る舞っちゃおう!」
ローゼは、レーツェルが女神であることを信じていないため、適当な嘘でもつくのだろうと勘ぐっているが、その予想は大きく外れる事になる。
「ジャーン!これがドラゴンステーキです!」
何もないところから皿が現れ、その上にはほかほかの米と肉が乗っているのだ。
現実主義者が見たら、泡を吹いて倒れてしまいそうな超常現象である。
「っが、ほ、本当に……」
ローザは、心霊現象でも起きたかの様な表情なのだが、それとは裏腹に、のほほんと「いただきます」を始める孤児たち。
「どうなってんのよおおお!!」




