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第14話 こんなの誰も倒せない?私なら倒せるんですけど!?

よく見たらすごい人数集まってるな。

領主邸の人たちだろうか。


「愚かな人間どもよ。呪いを解いて満足したかな?ふ、っ、はははは。全てはフルー様の天命、この世界を終焉に導いて差し上げます」


そいつは、まさに悪魔という名前が相応しい外見をしており、魔王に引けを取らない厳つさをしている。


禍々しく光を放つそれは、絶対濃度の魔力だ。

魔力密度が限界まで増幅した時に見られる現象である。

レーツェルと同じ。神の雷と同じレベルの力……。


そんな奴に勝てるわけがない。

勝てるとしたらただ1人。


「悪魔は逃げたやつから襲ってくる。動くんじゃねえぞ」


博識な誰かの言葉に、全員が止まった。


「神様!どうか我々をお救いください!」

「何言ってんだ。神様なんているわけないだろ」

「あんなの勇者だって勝てやしない。この世界にあれを倒せる人なんていない」

「いや待て、レーツェル様は勇者の血筋ではないか。彼女の力を信じてみよう」

「よく考えろ、絶対濃度を起こせる悪魔は、過去に魔王を操ったことすらあるんだぞ!魔王を支配できる奴を1人でどうにかできるわけがない」


腕を伸ばしたレーツェルは、悪魔めがけて雷を放つ。


バチバチッ


ドサッ


もう慣れたものだ。

魔王だって数秒あれば倒せるだろう。


「なんだ!?」

「悪魔が落ちてきた!?」

「何が始まるんだ……」


(あれ、私が攻撃した事に気づいてないのかな)


その悪魔を恐れ、離れていく人集りだが、ムートだけは悪魔に近づいた。

ひっくり返し、胸を押さえたり、顔に手を当てたり。


「やはりこの悪魔は、死んでいるようだ」


その言葉に、足を止める人が続出した。ムート様が言うのだ。信じない人はいない。


「まて!領主様が乗っ取られている可能性もあるぞ!」

悪魔はなんでもありの怪物で、もはや神として崇められるほどだ。



レーツェルは、何とかこのパニックをおさめようとした。

「大丈夫ですよ!私がその悪魔倒しておきましたから」


「馬鹿言え、何もせずに悪魔を倒せるわけがないだろ」

「そんな事ができるのは女神ぐらいなのでは……」


さっきの光は、悪魔自身が放ったものだと勘違いしているのだろう。

困惑する人が多い中、腰に手を当て、堂々と言った。


「だって私、女神ですから」


『ええええええええええええ!?』


みんなを落ち着かせるつもりが、大混乱を招いてしまい、レーツェルは焦った。


(そもそもなんで私が女神だって事知らないのーーー??)


ムートは素早く指示を出した。「ギルドマスターを連れてこい」「王様に手紙を出せ」「ゾックを医務室に運び、食事を摂らせろ」


天才ピアニスト『ゾック』も、目が覚めた瞬間こんな事に巻き込まれて可哀想だし、何かしてあげようかな。

正直に言うと、ゾックさんと仲良くなりたいので。



メイド達は休憩中、さっきの出来事を話をしていた。

「レーツェル様素敵ですわ」

「ピアノの演奏も心を打たれました」

「え!?うちそれ見てないんやけど!」


リーリアはショックのあまり、机を「ドン」と叩き、立ち上がった。

「何で教えてくれなかったん!?」リーリアの悲痛な叫びに「早く行かないと演奏が終わるって言われたから」と目を逸らしながらいう2人。


「ま、まぁ、悪魔に殺されそうになる恐怖も味わわずに済んだんだし」「そうよ!凄く恐ろしくてよ!」

話の意味がいまいち掴めないリーリアは、椅子に座り首を傾げる。


「ゾック様にかけられた呪いの正体である悪魔が出てきたいんです」

「でも、レーツェル様が伝説の魔法で華麗に倒してくださったのですわ。一生に一度の思い出ですわね!」


今度は、立った衝撃で椅子を吹っ飛ばしたリーリア。

「どういうことよおおおおおおおおお!!」


この後詳しい説明を聞いた彼女は、泡を吹いて倒れてしまった。


一方レーツェルはというと、「生の悪魔カッコよかったー」と呑気にクッキーをつまんでいた。

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