第13話 待遇良すぎるんですけど!?
「わっ!?」
「驚かせてしまいましたか?」
何だ、ドアの開く音か。
いやーホラー映画見た後のちょっとした音で驚くあの現象、久々に感じたな。
王室の前の扉みたいに、両開きするやつだからすごい音が鳴るんだよな。
入ってきたのは優しそうなイケメンだった。
健康的な肉付きに、キリッとした眉毛、「楽器やってますか?」と言いたくなるような綺麗な指だ。
「私は街一番のマッサージ師です。長時間のピアノ演奏で疲れていると思いますので、別室でマッサージなさいませんか?」
きっとムートさんの気遣いだろう。
いつも美味しい食事にデザートを出してくれるし、大浴槽も貸切で使える。しかも今弾いているのは世界一のピアノ。
もはや至れり尽くせりを通り越しているのだが、せっかく来てもらったマッサージ師を帰すわけにもいかないので、仕方なく頷いた。
決してそういうのを望んでいるわけではなく、仕方なくマッサージされることにした。
3時間後。
温泉の、薬草エリアでくつろいでいた。
「マッサージ気持ちよかったぁ。そして今も気持ちぃ」
何が起きたかはご想像にお任せするが、とにかく悪いものが全て流れた。
体を洗い、温泉を後にすると、世界が鮮やかに見えた。
血行が良くなったからだろうか。
結構良くなった。
そういえばもう1通手紙が届いてたよな。
『お兄様の婚約相手になられたそうじゃないの。噂では、孤児や食べ物にありつけない人に食べ物を分け与えているとか。それが本当かどうか、見極めさせてもらうわ。用事が終わったら孤児院に行きますからね』
疑われてるー!
けど、孤児院と仲良くやれているかを確認されるだけなら問題ないだろう。
ピアノの部屋に戻ってきた。
練習を再開すると、驚くべき事に、弾けるようになっていたのだ。
「休憩って大事なんだなあ……あ、ちがう!ゾックさんを連れてこないと!」
寝たきりになったゾックさんを、その父であるムートさんに連れてきてもらった。
「弾けるようになったのか!?この短期間で!?」
マッサージのおかげで血行が良くなって、結構上手くなりました!というしょうもない駄洒落を言うのを我慢して、普通に言葉を返した。
「私は、特別頭がいいわけでも、才能があるわけでもありません。ただ、努力する方法と成功する方法がわかっているだけです。努力した量だけは誰にも負けませんからね!」
女神様に努力が必要なのだろうか。と疑問に思うムートさんだったが、レーツェルの演奏を聴いてその気持ちが変わった。
人の心を動かしたレーツェルの音色は、機械的に弾いているものではなく、もう2度と同じ演奏はできないというような人間的な演奏だ。
ゾックにかけられた呪いが解けかけているのか、赤いモヤモヤが吹き出し始めた。
ムートはゾックの手を握り、汗を流しながら願っている。
私の演奏が終わった瞬間、ゾックの呪いは解け、目を覚ました……のだが……。
赤いモヤが集まり、上級悪魔が姿を見せた。
どうやら、こいつのせいでゾックが苦しんでいたようだ。
「これは一体どうなっているんだ!」
「何だあれ!?」
「浮いてる……」
「なんて禍々しいんだ」
(あれ、こんなに人いたっけ……)
私の演奏につられて大勢の観客が来ていたのだ。
レーツェルは、演奏に集中していて全く気づかなかった。
「ん?あの浮いてるのは……上級悪魔!?もしかしてゾックを呪ってたやつ?」
私の言葉にざわついた。そもそも悪魔なんて、おとぎ話ぐらいでしか出てこないものだ。どんな見た目をしているのか知らない人の方が多いだろう。
「お終いだ……。上級悪魔なんて、勇者パーティーですら勝てるかどうか……。果たして何人生き残れるか……」
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