表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁断魔術と怪物軍  作者: 栗原アリス
2/2

学院長室

(えー、学院長ってこの学院のトップじゃん)


アレンはマルバと一緒に学院長室に向かいながら考えていた。貴族っぽいお嬢様とそのお付きも一緒にいる。


「な、なによ、貴方達もなの?」

「ああ、うんそうみたいなんだけど...」


なぜか喧嘩腰に話しかけられた。


「なあ、俺たちなんか気に触ることしたっけ?」


ヒソヒソ声でマルバはアレンに聞く。


「してないと思うけど...。彼女も緊張してるんじゃないかな?」


アレンもヒソヒソ声で返す。


「な、何よ!?き、緊張なんてしてないわよ!!」


茶髪の少女はそのおろした髪を流しながら叫び気味に言った。


(聞こえてるじゃん......。あと、それは緊張している人が言うセリフな気がするんだが...)


そうこうしている間に学院長室に着いた。お付きが扉をノックする。


「失礼します」


上質そうな木製の扉が開く。

(案外狭いんだな...)


学院長室はアレンが想像していたよりはるかに狭く、こじんまりとしていた。


「君たちが最後だ。入りたまえ」


部屋の奥には両肘を机につけて、組んだ手を口元に寄せている人がいた。年齢は中年から後 年にかけるほどで、髪は白色になっている。

(どっかで見たような...)


「私がこの学院の学院長だ。よろしく頼む」

(あ、入学式で式辞を読んでいた人か!)


「なぜ君たちをこの部屋に集めたか気になっていることだろう。実際、ある特殊な事情で君たち を集めさせてもらっている。そのことについてはあとで話すとして、その前に...」


威厳のある強面の顔が一瞬で笑顔になり、立ち上がった。


「...自己紹介とでも洒落込もうじゃないか!!」

「...学院長、やめてください。生徒たちが戸惑っています」


今まで空気のようだった副官のような人が口を開いた。顔には疲労の色がありありと現れてい る。

(苦労してそう)


「ゴホン、とりあえず自己紹介を」


アレンはそこで初めて自分達の他に数人の生徒がいることに気づいた。


「まずは君から。名前は必ず言ってほしいけど、あとは自由だよ。趣味、特技、将来の夢なんかね!」

「えっと...僕はリュカといいます。趣味は音楽鑑賞で、特に特技はないです。」


指名された少年がオドオドしながら言った。 そして、みんなの視線が隣に進む。


「...次は俺なのか?」


ガタイのいい生徒が言った。


「俺はガルンダード。他の奴らからはよくガルンと呼ばれる。趣味は腹筋と腕立て伏せとランニン グと...あと懸垂もよくやるし、あとは...」

「僕はルード。一応貴族だけど弱小だからほぼ平民だよ。趣味は魔術具漁りかな」


永遠に続けそうなガルンを遮ってルードと名乗る少年が言った。


「.........クリンセーヌ」


金に光る髪を短く切りそろえた女生徒がボソッと一言だけ呟いてまた口をつぐむ。




・・・




(え?それだけ?)

名前だけ告げて黙り込む少女に部屋が静かになった。 数秒後、自己紹介が終わったらしい彼

女から視線が移る。


「あたしの名はカルム。趣味は魔獣をボコボコにすること。喧嘩したい奴がいたらぜひ言ってな!」


なぜかメリケンサックをつけている女生徒は大きな声で言った。 その自己紹介の内容には誰もつっこまず、つぎへと視線が進んでいく。


「わ、私の名前はフラン=セルドース・フォークステン。よ、よろしく」

「私はセシリアと申します。フラン様の従者です」

(落ち着かないフラン様?と冷静沈着なセシリアさん。...真反対だな)


「俺はマルバ。特技は錬金術かな」


マルバが短く自己紹介を終える。


「俺はアレン。特技も趣味もないな。どこにでもいるただの学生だ」


アレンは肩をすくめた。


「うんうん、素晴らしい」


学院長が満足そうに頷いた。


「学院長、それは自己陶酔です。あなたがすごいわけではありません」

「でも、大変だったんだよ。自己陶酔ぐらい見逃してくれよ」


また副官さんがため息を吐く。


「それで学院長、説明を」

「そうだな」


学院長がアレンたちに向き直る。


「君たちを集めたのは…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ