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夢の森書房での不思議な体験  作者: 柊瑠璃
第一章 本に選ばれた少年の話
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6

そして彼女は満足そうな笑みを浮かべるとその場を去っていきました。

数日後、彼は変わりました。誤解が解けたからでしょうか。彼は明るくなり、皆から慕われるようになりました。そのきっかけをくれたルイーゼに改めてお礼を言うと……。

「私はただ真実を知りたかっただけ。それがどんな結果になってもね。あなたたちの場合仲直りしたからよかったけど……。さらにこじれていた可能性もあるのよ? それにもったいないと思ったからね。本音を話せる友達なんてめったにできないものだから大切にしなさいね」

彼は笑顔で頷きました。こうして彼はルーカスと仲直りすることができ、皆から信頼のおける人と判断され、これからも多くの人と関わって生きていくのでしょう。

その後の彼がどうなったかは皆様のご想像におまかせいたしましょう。


店主が物語をすべて話し終えた瞬間、リアムの目から涙がこぼれ落ちました。カイルとルーカスが仲直りしたころにほっとしたからでしょうか。彼自身も自分がなぜ泣いているのかが解りません。店主は彼にハンカチを差し出します。

「すみません。ほっとしてしまって……。僕も似たような経験をしていたのでいつの間にか自分とかさねてしまっていたようです。」

「そうなんですね。構いませんよ。ここは悩みを抱える方が来る場所でもありますが、不思議な体験を求めてくる方が多いのかもしれませんね。ここが安らぎの場所になればよいと私は思うのです。何かから逃げ出したいとき、心が壊れてしまいそうなとき、ここに導かれるのです。ここで、私から一つアドバイスをしましょう。言いたいこと、伝えたいことは我慢せず相手にしっかりと伝えましょう。話さなければ何も伝わりません。逃げたいときは逃げてもいいんです。いくら遠回りしても大丈夫です。自分が信じる道を進んでいけばきっといつか道はひらけるはずですから。ここでの出来事は内密に。貴方の身に不思議なことが起こるかもしれませんから。そろそろ店じまいですね。お帰りください」

彼は頷くと店を出ました。店を出て振り返るとやはり扉はありません。それでも、彼が振り返ることはありませんでした。店主の言葉が印象に残ったからでしょうか。それとも、自分の進むべき道がわかったからでしょうか。彼は晴れやかな顔で家に戻りました。

「ただいま」

「おかえりなさい」

と母が答えます。

「何かいいことでもあったの?」

「うん。僕のやりたいことが見つかったんだ。僕はねカウンセラーになりたい。人の話を聞いてアドバイスできるような人になれたらいいなと思う」

その答えを聞き彼の母は微笑みます。

「そのいいことが聞けないのは残念だけど母さん応援するから頑張ってね」

「うん。僕、頑張るよ」

そう言った彼は自信に満ち溢れていました。前の彼とは、何かが違うと思いました。けれど、彼がいい方向に変わったことに喜んでいるようでした。こうして、彼は夢を見つけ自分が信じる道に歩き始めました。

そんな彼が夢の森書房を出たときに戻りましょう。

 物陰から、一人の少女が見ていました。しかし、彼を目で追っていた少女は扉が消えたところを見ていませんでした。彼女の名前はレイラ・ウィリアムス。彼女は彼の幼馴染で、彼がいつも自信なさそうにしているのを見ていました。そんな彼が変わった理由が、気になって仕方ありません。次は私があそこに行ってみようそう決意しました。このことは、だれにも言いませんでした。言ってはいけないと本能的に感じたからでしょうか。

新しい物語の予感がします。次は、どんなお客様がいらしてくださるのでしょうか。それでは、まいりましょう。新しいお客様が来たようです。


 



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