84話目 作戦会議
双剣使い、大剣使い、攻撃系の魔法使いに、支援系の魔法使い。
タンカーはいない。
私たちのチームの方針としては、私とメアリーの爆発力を魔法使い陣営でカバーするといった形だ。
一気に攻めたい場合を除いて、私とメアリーが交代で攻めに回る。
片方が攻めている間、片方は魔法使い陣営のカバーを行う。
魔法使いのメリットとして、長距離からでも攻撃ができるという点がある。
しかし、デメリットとして、接近戦になったときにすぐに対応ができなかったり、攻撃を防ぐすべがなかったりすることだ。
正直、Centres Gamingのように、全員が前衛、アタッカーでも正直言って何とかなる。
しかし、全員がアタッカーだと、戦術のバリエーションが少なくなってしまうということがある。
協力しながら戦うということも可能ではあるのだが、魔法使いと私たち前衛の組み合わせよりは劣るだろう。
「私は支援系ですので、あまり自身の身を守るすべを持っていません。」
「そうだね。そこらへんは私たちがいい感じにカバーしていくわ。自分のことにできるだけ集中していて大丈夫よ。」
「ありがとうございます。」
「で、メインアタッカーだけど、私じゃなくてユウヒにやってもらおうと思うっているわ。異論がある人はいる?」
「えっと、どうして私?」
「そりゃ、スキルがあるからでしょうに。」
メアリーの大剣使いという職業はサブ職業で、サブ職業の場合はスキルを手に入れることができない。
メアリーはそのスキルが使えないという点を身体能力でカバーしているが、さすがにトップレベルでの戦いになってくると、通用しない場合も想定する必要がある。
そのため、あらかじめsキルが使える私をメインアタッカーに据えて、行動していくというふうに戦術を組んだ方が、動きやすくなってくるのだ。
「私もできるだけ前には出るようにするわ。でも、できるだけ私は後方で音符ちゃんとアルミさんのカバーをしながら全体の指揮を執っていきたいの。」
いままでメアリーがやっていたゲームでは、メアリーはIGL(In Game Leader)といって、リーダーとして味方に指示を出していく役割を担当していた。
戦術面においては、私が考えるよりメアリーが考えたほうが相当いいだろう。
「わかった。それでいこう。」
「じゃあ、そういうことで、私ができるだけカバーするから、魔法に集中してもらって構わないわ。でも、攻撃が防ぎきれない場合もあるということを常に意識して行動してくれるとうれしいかもしれない。」
「了解しました!あの、私一応接近での戦い方ができるので、いけそうなときに前に出ても大丈夫ですか?」
「いいわ。でも、その時に声をかけてくれるとうれしい。」
「はい!」
音符猫は、以前いたパーティーでは魔法使いでありながら、積極的に前に出て戦っていた。
それは、音符猫が魔法の高速発動を得意とするプレイヤーだからだ。
どうやら、彼女は1人でレベル上げをするのが嫌いらしく、1人の時はただひたすらに魔法を打ちまくっていたらしい。
その結果、発動短縮というユニークスキルを手に入れた。
魔法の発動速度はこのゲームでも随一だ。




