61話目 コウモリ
町の外へは東西南北に一か所ずつ開いている穴から出ることができる。
「おお!おおおおお!!!」
メアリーは大盛り上がりで洞窟の内部を歩いている。
それもそのはず、洞窟内部にはたくさんの鉱石や素材があり、鍛冶師として心躍るものがあるのだろう。
私はあまりわからない。
「ムッ、メアリー、前からなんか来るよ。」
「わかってる。」
ここは町の外だ。
鉱石を見ることができるアトラクションではない。
もちろんモンスターも出るわけだ。
「これは!?」
現れたのはコウモリ型のモンスターだった。
一匹一匹が非常に小さい。
以前1層でもコウモリ型のモンスターと出会ったのだが、見た目が少し違う。
牙が大きく発達しているのだ。
レベルも3層というだけあってそこそこ高くなっている。
ここは1層のコウモリと同じなのだが、群れで行動しているようで、同じ種類のモンスターが無数にいる。
「これめんどくさいね。」
「そうね。あ!ちょっと私思いついたことやってみてもいい?」
「え、いいけど。」
そういってメアリーはおもむろに地面に手をやると、造形のスキルを発動させた。
その瞬間、ものすごい勢いで地面が盛り上がり、あっという間に大量にいたコウモリのモンスターを押しつぶしてしまった。
「解除」
メアリーがそう呟くと盛り上がった部分が消え去った。
現実ならここで内臓が飛び出ているコウモリの死骸があるのだろうが、ここはゲームの世界なので何もない。
私は一切今回は戦闘にかかわっていないのだが、コウモリは相当な数がいたようで、メアリー曰くものすごい量の素材と経験値を獲得したようだ。
「そういえばさメアリー、私は効率化っていうスキルを持っていて経験値の入手量とかがめちゃくちゃ上がるんだけど、メアリーよりレベルが低いじゃない?メアリーってなんか特殊なスキル持ってるの?」
「うん持ってるよ。私の場合は獲得経験値上昇っていうそのまんまのスキルなんだけど、これは生産職しか手に入らないから多分ユウヒはゲットできないんだよね。」
「そうなのか~、でも私がそれを手に入れたら大変なことになっちゃうよ。レベルぐんぐん上がっちゃうわ。」
そういいながら私たちは洞窟の奥へと足を踏み入れていった。




