36話目 本当の化け物
ああ!もう!!
だってこれだよ???
なんであんな節ごとに分かれてるの!?
1個でいいじゃん!!!
「ああああああ!!ぶつかる!!!!」
さすがは大剣振り回してるだけある。
多分いま空中ジャンプ使って無理やり向きを変えたら私大変なことになるよ。
足折れるって。
仕方ないのでしぶしぶ私は双剣を引き抜く。
クソ、やるしかないのか。
「おら!くらえこの野郎!!」
私は取り出した双剣を逆手に握ってサソリと触れそうな距離まで近づいたタイミングで大きく振った。
メアリーのせいで勢いもついていたのでその双剣はサソリの固い甲羅を突き破って思いっきり突き刺さった。
それを私はサソリを引き裂くように抜き取った。
あたりにはサソリの血や肉が飛び散って私にもついた。
「ああああああ!!!!!気持ち悪い!!!!!!!!!!!」
おいメアリー助けろよ。
ふつふつと湧いてくる怒り。
だらだらとそれを見るメアリー。
「おい!助けろこの野郎!!!」
「へ?ああ、私ね!いやー、まいったまいった!あまりに面白いもんだから!もう、必死になっちゃって!ふっふふふ!」
「くっそ、あの野郎覚えとけ!」
「あー、わかったって行けばいいんでしょ!」
するとメアリーはすごい勢いで地面を蹴ってこっちに跳んできた。
……地面を蹴って飛んできた?
サブ職業ってスキルを手に入れられないんじゃ……。
え?どゆこと?
私は思わず目をこする。
あまりにも信じられない状況があると人間ってホントに目をこするんだね。
私の目の前で起こっている光景はあまりにも衝撃的だった。
小さな手に担がれた大剣はあっという間に目の前にいた巨大なサソリを切り裂き、八つ裂きにしていた。
その少女は笑っていた。
いや倒すのが楽しいとかじゃなくて普通に私を見て笑ってたんだと思うんだけど。
笑いながら流れ作業でしかもスキルを使わずにあいつを倒すって……。
「メアリー、あんたやばいね。」
「え?なに?」
……。
私、サンライズオンラインやめようかな。
なんか一瞬で私の今までの努力をすべて否定された気がする。
まあそれだけを狙ってやってたわけではないけど頑張ってスキルを手に入れて、それを伸ばして、生かすような戦いを練習しながらここまでやって来た。
でもスキルを使えないようなサブ職業の大剣使いが目の前で圧倒的な戦いを私に見せてきたのだ。
心も折れるよ……。
なに?この話の主人公もしかして私じゃなかった?
本職鍛冶師の私がサブ職業『大剣使い』で無双してみた。
だった?この作品。
「えっと、メアリー。どうしてここまで飛んでこれた?スキルは?」
「ん?普通に鍛えたらできた。ちょっと力を入れてぴょんと。」
普通に鍛えるとは……。
「ちょっと、え?なんで?」
「なに?普通に戦っただけだよ。だってスキル使ってなかったでしょ?サブ職業じゃスキルは手に入れられないんだよ。」
はい。スキル使っていないのが確定しました。
ありがとうございました。
「あ、あ、私の努力が……。」
「?なに馬鹿なこと言ってんの。さっさと行くよ。」
「え、あ。はい。」
心おられた。
私もうちゃんとレベル上げ出来ないよ……。
ユウヒ『双剣使い』Lv,74
メアリー『鍛冶師』Lv,116
サブ職業『大剣使い』Lv,87
一応スキルを使えないとかそういうのもあるので実力は同じくらいだと思います。
一応私の頭の中の設定では……。
今後どうなるかは未来の私に託す!
頑張れ!