35話目 サソリ
でも正直私とメアリーはチームでの戦いをほとんどやっていないっていうのは今回のイベントでは不利になるかもしれない。
メアリーと組んでやったことはボス攻略だけだし個人個人で知らない人とパーティーを組んで狩りを行うとかもやったことがない。
結構このゲームはそういうのが盛んだと思うんだがなんでやったことないんだか……。
まあパーティーを組んでやる必要がないっていうのはある。
そこらの4人組のパーティー適当に声かけて1対4で戦っても多分私やメアリーは勝利できる。
適当に3人誘ってやるより1人のほうが気も楽だから。
メアリーとだったら落ち着かないとかそういうのないから楽でいいね。
私がそう言って脳内独り言タイムを繰り広げている間もメアリーは作業をしている。
あんなに豪快に大剣振り回してめちゃくちゃ強いのに本職は鍛冶師って結構かっこいい。
裏の顔みたいで。
しかもどちらも腕は一級品。
これいってはおしまいなんだろうけど普通に大剣使いとしてこのゲームをやっていたら相当上位のプレイヤーだったと思う。
長年のゲーム経験からきているのかわからないけどとっさの判断力はレイヴさんとか私とかより全然上。
そこにスキルが加わったりなどしたら私じゃ手も足も出ないかもしれない。
ふぅ……、危うく私第1回イベント2位になっていたかもしれないよ……。
よかったメアリーが鍛冶師で。
「ん?なにじろじろ見てんの。」
「いや、メアリーが鍛冶師でよかったなって。」
「何それほめてるの?」
「ほめてるほめてる。」
にしてもこのサブ職業とかいうシステム考えた人相当頭いいと思う。
確かに生産職は1人で素材を集めに行くのはハードルが高いけど戦闘がそこそこできれば集めに行きやすい。
それに普通の職業で前衛職やってる人の中にもスキルを使わない人だって存在しているわけだから普通に戦える。
生産職のハードルを下げてるいいシステムだと思う。
「ユウヒできたよ。」
「おお!ありがとう。いい腕してるね。」
「ありがと。ちょっとこの後一緒に狩り行かない?」
「いいよ!2層でいい?」
「全然おっけーだよ。」
今回は2層の北のほうへやって来た。
ユウヒが買ってきてくれたマントを深く羽織ってワープで2層へ来た。
そして北へ向かって猛ダッシュ!
そうでもしないとあっという間に人に囲まれてしまって大パニックになっちゃうからね。
まだ昨日のイベント決勝戦の熱が冷めきってないみたいで相当やばい。
もうとにかくやばいの!!
「大変そうだね。これじゃあろくに狩りもできやしない。」
「そう!そうなの!!だから今回は2層の北の端っこに行く!」
どちらかというと2層のカロイの町は南側によっている。
だから北の端っこは結構遠いんだ。
メアリーは超加速を持っていないから私がメアリーをおんぶして超加速で一気に駆け抜けることにした。
メアリーはちっこくてかわいいから余裕でおんぶできる。
「ンフ……。」
「うわ、ユウヒキモイ。」
「私女に生まれてよかった。だってメアリーをおんぶしてもセクハラにならないから!」
「ねえ!最悪!マジでキモイ!!」
「メアリーちゃん、私と一緒に暮らそう!んふふ!」
「マジでおろして!!最悪!私帰る!!!」
「やーだー!私の背中に捕まっていなさい!」
「最悪だ。ハラスメントで運営に通報するぞ。」
「え、ちょっとマジで勘弁してくれ。」
「ふんっ!」
ちぇっ、怒られちゃった。
「それにしても2層ってすごいね。」
「ん?どこが?」
「私あれ以降2層に来てなかったからあんまり探検とかできてなかったんだけど、マジで砂漠って感じなんだね。」
「そうだね~、町の近くはモンスターもほとんどいないから人によっては1層よりも楽って人もいる。見晴らしもいいところが多いから。」
「でもこの前砂嵐のやつあったよね?」
「あ~、あれはつらかった。もう目にゴミ入りまくりで大変だったんだよ。」
「ゴーグル買ったんだっけ?」
「そう。買ったよ~。」
「ふ~ん、って!ユウヒ前!!」
「ええ!なに!!」
メアリーの大きな声で私は足を止める。
「ちょ、とまんねー!飛ばしすぎた!メアリーちゃんとつかまって!」
「うん!」
ああああ!!おてて可愛い!!
メアリーが!!私に抱き着いて!!!
「ちょっとユウヒ!!ちゃんとしてよ!!」
「ああ、ごめんごめん。ちょっと天国に……。」
(おらっ!これで止まれ!!!)
私は跳躍を使って飛び跳ねた後姿勢を変えて空中ジャンプで一気に後ろに向かってジャンプをする。
「うぉ!足が!!」
絶対変な方向曲がったって!!今!!
私が跳躍を使ったときに地面を大きくけったのであたりには砂埃が舞っている。
私はしっかりと空中で体制を整えてスタッと着地。
「おお、よく止まった私。」
「ユウヒ、あれ、なに?」
「ん?……なんだあれ。」
「あれ見たことない?」
目の前にいたのはでっかなサソリ型のモンスター。
「うん。初めて見た。」
……。
「あのさメアリー。」
「ん?」
「あんた虫いける?」
「別にいけるけど。」
「じゃああとはよろしく!!」
「あ!お前逃げんな!!」
やめてー!!マントつかまないで!!
私マジで虫がダメなんだ!!
だって病院虫いないもん!!
あれキモすぎるだろ!
なにあの見た目!
絶対見た目で損してるって!!
「ユウヒ、やっぱりこういう虫のモンスターって今後も戦うわけじゃん。だったら虫苦手克服しないとね。」
え、なに?
絶対メアリー楽しんでるって!!
「ねえ、やめよ?」
「ん?」
「ねえ!!!放して!!!やめてほしいよ!!」
そんな私の悲痛な叫びが届いていないかのようにメアリーは私をつかんで離さない。
そしていつも大剣振り回してるメアリーの細くか弱いように見える激つよ腕は私をサソリに向かって飛ばす準備満タンだ!!
「しゃあ!歯ァ食いしばれ!!!」
「ヒィ!!や、やめてください!!」
「せぇぇえぇえええのっ!!」
「あああああああぁあぁあ!!!ぎゃああぁぁぁああ!やめて!やめて!!!」
「おらっ!くらえサソリ!!」
「ぎゃああああああああああああ!!!!!!」
メアリー腕力強すぎ!!
ちょっと!すごい勢いでサソリに近づくんですけど!!
どうするの?これ!!
ちょっと走馬灯みたく私の頭の中を様々な記憶がめぐる。
メアリーあいつ!あとでぶん殴ってやる!
空中でちらっとメアリーを見るとおなかを抱えて大爆笑。
「くそくらえ!!!!!!!!!!!」




