188話目
天からマップを見れば、あれほど離れていて戦闘にはならないだろうと思われていたユウヒと魚肉ハンバーグとの距離がどんどんと縮まっていく。
ただ、それはフィールド上にいる者たちからは一切わからない。
序盤の方に獲得した超加速。
さすがに長期間使っていればその速度にも慣れてくるわけで、馬が見れば涙を流してひれ伏しそうな速度で湿地帯を駆けていく。
(うーん、なかなか敵がいないなぁ……)
付近に1つや2つパーティーあるだろうから、人数少し削って帰ってこようと思ってたんだけど、どうやらいないみたいだ。
戦闘の音もしない。
(そろそろ引き返す?って!発見!)
引き返そうと思ったその時、一瞬だが敵の姿をとらえることができた。
数は4で、おそらくメアリーのチームではない。
(やるか?やろう!)
私はメアリー以外は、いや、メアリーにも負ける気はないので。
サクッと倒して手柄をゲッチューしていきたいと思います。
「みんな!敵が来たよ!」
「periさん、頼んます!」
「頼まれた!……けど、もしかしたらちょっと厳しいかも……」
「どうしたんすか!?」
「……ユウヒ選手だ」
「「「あ」」」
そんな自身を怪物か何かとでも言いたいような会話が繰り広げられているとはつゆ知らず、着々と距離を詰めていく。
periはRayWaysEsportsというプロチームに所属している正真正銘のプロプレイヤーだ。
サンライズファンタジーにやってきて初めて発揮されたそのゲームの腕前は、数多くのプレイヤーを魅了するという。
FoxAgain、CentresGamingに次ぐ国内第3位のチームの司令塔で、主に遠距離攻撃を得意とするプレイヤーだ。
「よしッ、やりますか!」
そう気合いを入れ、アイテムボックスから双剣を召喚してはいつも通りに逆手に握る。
ほう、と息を吐いて集中力を高めて相手を眺める。
1対4で、1人はプロ。
気を抜いていては倒されてしまう。
「さぁ!ついに今大会初の戦闘が始まります!初戦はRWEのperi選手率いる“魚肉ハンバーグ”対“NiceNeet”です!ただ、“NiceNeet”側はユウヒ選手ただ一人!」
「いやぁ、さすがのユウヒ選手と言えど、いきなり1対4はなかなかにハードなのではないでしょうかね」
「はい!こちらから見れば圧倒的不利状況なのはユウヒ選手であり、相手は国内屈指の司令塔率いるチームです!1人でどこまで張り合えるか!」
:まさかの1人凸!
:おおおおおおお
:ユウヒちゃんがんばえ~!
:まじでがんばってくれ
:第1回大会、第2回大会を思い出す
:さすがに魚肉が勝つだろ
:無謀
:がんばれ!
:さすがに無茶では?
見たいところを的確に映し出す配信カメラは、1対4の激闘を角度を変えながら映し出している。
periの放つ鋭い魔法をぬかるんだ地面をものともせず、軽々とかわしては、流れ際に攻撃を重ねていく。
踏み込んできた片手剣使いは足をぬかるみに持っていかれ、それを待っていたかのように地面から現れたツルによって縛り付けられてしまった。
藻掻こうとしても、完全に腕をロックされてしまっているために抜け出すことができない。
藻掻いている間に、どこからともなくやって来た短剣が首元を引き裂く。
そして、流れ作業のようにほかの2人も倒してしまった。
「……まじですか」
「ちょっとこれは信じられません!4対1の圧倒的不利状況が、あっという間に1対1の状況まで持ってこられてしまいました!しかもperi選手は遠距離攻撃を得意とする魔法使いであり、形勢逆転です!」
「いやぁ、明らかに無謀かと思ったんですけどね……。さすがはゲーム最強と呼ばれるだけありますね」
「そうですね。これを見せられてしまえば、もう全国の双剣使いがゲームをプレイできなくなりそうですね」
:ま???
:はぁぁぁぁああ??????
:まじでどゆこと?
:おかしいだろ
:うますぎる
:はやすぎだろ
:どうやってるんだ?
:ええ?スキルほぼ使ってないやん。あれプレイヤースキルってこと??
:マジでうますぎるだろ
:参考にならねぇ……
一瞬向き合ったユウヒとperi、ただすぐさま始まった戦闘は圧倒的としか言えなかった。
魔法使い対双剣使いでは、明らかに魔法使いが不利すぎる。
この圧倒的に力でねじ伏せる1対4の戦闘は、瞬く間に切り抜かれ、様々なところへと拡散されていくこととなる。
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