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122話目 戦闘

「メアリー……」


私が発したメアリーという言葉を聞いて、敵さんの顔は徐々に青ざめて行っている。


前回大会、あの強豪集う第2回大会をたった2人で踏破した伝説のチーム『Sunset』、そんな2人を倒せるとは到底思えなかったからだ。


確かにこの大会で上位を目指すために頑張って来た。


ただ、なぜ優勝ではなく上位を目指すために頑張って来たかというと、今回の大会にはこのFoxAgainが参加するからであった。


公式が発表しているレベルランキングの上位に名を連ねる4人組。


他のプレイヤーから伝わるレベル上げの際の濃密な連携と、圧倒的なプレイヤースキル。


ただ、心の中にもしかしたら勝てるかもという感情があったのは事実。


だが、そんな感情も先ほどのユウヒとの戦いでとっくに消え去ってしまっていた。


とはいっても、ここで試合を放棄して退出なんてしたら自分たちの名前が廃れてしまうし、おそらくこの戦いは公式配信に乗っている。


先ほどから空中を浮かんでいるカメラがその事実を物語っている。


「お前ら!怯むな!!」


その味方を鼓舞する掛け声が試合開始の合図になったかのように、両者圧倒的な速度で動きだす。





相手のリーダーも相当な手練れだろう。


それは先ほどからの動きでわかる。


周りの2人をメアリーに任せ、私はリーダーらしき大剣使いの大男と戦っていた。


先ほど首元につけた傷を無視するかのようなそのテキパキとした動きや、非常に重い大剣をまるで片手剣かのように振るうその筋力。


そして、先ほどからの打ち合い中に時折見せる目の動き。


おそらくこの目の動きは、私の動きをよく観察して次にくる攻撃を予測、自身の取るべき行動を考えている目の動きだろう。


私の動きを追えている。


思わず頬が緩んでしまう。


「ハッ!のんきに笑いやがって!こんな格下真面目にやる必要もないってか?」


「いや、そんなことはない。これほどまでに戦い甲斐のある相手は久しぶりなだけ。」


そういうと、相手の顔が多少緩んだように見えた。


「お褒めにあずかり光栄だよッ!」


先ほどからの素早い太刀とは打って変わり、1発に体重をすべて乗せる全力の技が私に向かってやってくる。


その速度はやはり速い。


メアリーも大剣使いとして相当な実力の持ち主だし、まず戦い方が違うので比較としてはあまりよろしくないかもしれないが、1発1発の重さがメアリーよりも上である。


そして、先ほどから何度も言っている通りとにかく速い。


メアリーは体が軽く、大剣に体が持っていかれやすいためか、地面に強く足をつけて踏ん張りながら戦うのが特徴。


私の大剣使いのイメージにはそのメアリーの戦い方が強くある。


ただ、この相手は全く異なり、足や体を大きく動かしながら攻撃してくる。


これが何より戦いにくい。


そんな彼から飛んでくる渾身の一撃を、両手の双剣でしっかりと受け止める。


目の下の方で、足が大きく振り上げられるのが確認できた。


おそらくこの隙に蹴りを入れてくるのだろう。


だが、この試合中ずっと思考加速を使っている私にその攻撃は当たらない。


造形を使って相手の足元の地面を大きく盛り上がらせ、体勢を崩させる。


「ッ!」


盛り上がった地面を勢いよく蹴り飛ばし、相手は一度後ろへと大きく下がった。


そして、軽く大剣を払うと、再びこちらへ向かってきた。


足のあたりにパーティクルが表示されているという点から、メアリーとは異なってしっかりとスキルを使用しているのだろう。


この突撃をよけても良かったのだが、ここで避けて相手にペースを掴まれてしまうのはあまりよろしくない。


私も超加速と跳躍のスキルを使って一気に間合いを詰めていく。


そして、思考加速によってゆっくり進んで見える時の中で、じっくりじっくりと狙いを定める。


私の狙いはあの首元に赤く入っている太刀傷、先ほど私の攻撃が当たったところだ。


首を横にそらされて急所が外れてしまうのを避けるため、右に握った短剣を投げナイフで相手の顔左側へ向けてと投げる。


そのまま私は直進し、狙い通り相手の首元の太刀傷に向かって深く深く剣を突き刺す。


空いた右手と造形で相手の大剣を右側へと弾き飛ばし、首元に刺さった短剣から手を放して跳躍で後ろへと下がる。


その私の右手には先ほど投げナイフで放った短剣が握られており、空中で姿勢を変えて再び飛び込むと、頭のあたりを力強く蹴り飛ばした。


蹴りを受けた相手は頭から後ろへと飛んで行き、そのままパーティクルが出て消滅した。


メアリーもすでに2人の敵を片付け終わっていたようで、山の上にはたった2人の少女の姿のみであった。

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