109話目 配信開始
:始まった!!
:キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
:来た!!
:始まったぞ!!
:実写だ!
:かわいい!
:どっちがユウヒちゃん?
:かわいい
:かわいい
「えっと、皆様こんにちは。FoxAgainサンライズファンタジー部門のユウヒと。」
「同じくFoxAgainサンライズファンタジー部門のメアリーです!」
配信が始まると、コメント欄は可愛い可愛いというコメントで埋め尽くされていた。
確かにメアリー可愛いからしょうがない。
「おお、やっぱりメアリーって人気凄いんだね。」
「え?なんで?」
「だってみんな可愛いって言ってるよ?」
私がそういうと、メアリーは頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいるような表情をして、こちらを見た。
「え?これユウヒにでしょ?」
「え?」
:ユウヒちゃん可愛い!
:きゃうぁいい!
:かわいい!
どうやらメアリーが言っていたことは本当のようで、私は恥ずかしくなったので顔を隠しながら画面外へと逃げることにした。
「ちょっと!逃げないでよ!」
:ああ!
:んふ、おぢさんにかわいいお顔を見せてごらん( *´艸`)
:↑鳥肌立った
「ほら、いつまでも画面の外にいないで!早く戻ってきなさい!」
「ひぃ……」
夏海が私の腕を引っ張って画面内へと連れ戻そうとしたので、必死に踏ん張って抵抗したのだが、運動不足の私は抵抗虚しく、画面内へと引きずり戻されてしまった。
:なんか、ゲーム内ではメアリー清楚でユウヒちゃん活発だけど、リアルだと逆なんだね
:たしかに
:それは思った
:ワイ、メアリーの顔も初めて見たんやが、最初見た時逆かと思ったわ
「なに!?私が清楚じゃないっていうこと!?おかしい!!!」
コメント欄でぼろくそに言われた夏海はぷんすかぷんすかと怒っていた。
「ほら!ユウヒもなんか言ってやって!」
「……」
初めて会ったとき、私も同じことを思ったのでノーコメントということにさせていただくことにした。
「ちょっと!なんか言ってよ!」
「ノーコメント。」
:草
:草
:こういうとこだぞ
「まあいいわ。ほらユウヒ、進めて。」
少し拗ねながらも、こうやって1度話を打ち切れるところが配信慣れしているなと感じる。
多分夏海がいなかったら、このままこの流れに乗って本題に入れなかっただろう。
やはり頼れるいい人だ。
「なに?」
「いや、頼りがいがあるなって。」
私がそう素直にほめると、夏海は顔を赤くしながらそっぽを向いてしまった。
:あらー
:そういう感じ?
:いいぞもっとやれ
:あれ?ユウヒちゃん攻め?
:あらー
:おひょー!!!
「う、うるさい!!ほら早く進めて!!」
「は、はい!!えっと、まず最初にやるのがハッシュタグ決めです!」
今日の台本は夏海に任せたんだけど……
「えっと、ハッシュタグって何?」
「そ、そこから!?えっとね、ちょ、ちょっと待って!」
そういうと、夏海はおもむろにスマートフォンをいじり始めた。
そして、私に夏海のハッシュタグを見せてくれた。
「メアリアル?な、なにこれ。メアリーとメモリアルを混ぜたの?」
夏海ネーミングセンスないからなぁ……。
「ちょ!なんでそんな顔するの!!いいじゃんメアリアル!!」
:ちょっとダサいなって思ってた
:ネーミングセンスないww
:w
:結構いうねぇ!
「ああ!もういいから!これでわかったでしょ!こんな感じのやつ!」
「うん。ある程度分かったよ。じゃあねぇ、もう“サンセット”でいいんじゃない?ユウヒだし。」
「えっと、視聴者と一緒に決めるんだよ?」
「いいよねリスナー、これで。」
:いいよ!
:サンセット!いいと思う!
:さすが!
:メアリーよりいい!
:ネーミングセンスある!
:いいよ!
「全肯定……。」
どうやら私のリスナーはいい人たちのようだ。
夏海は頭を抱えながらぶつぶつ言っていたが、あまり触れない方がいい気がしたので触れないこととする。