予定外の参加者
扉から現れた人物に善之は、少し驚いた様に呟いた。
「あれ?林原さん来れたんだ」
彼女に気付いた女子の1人が逸早く立ち上がり、急ぎ足で彼女に近づいて行く。
にしても女子とゆうのは、どうしてすぐにくっつくのだろう。いつでもどこでもキャッキャッと鬱陶しい事この上ない。
と思ったのだが今回の彼女達はそれとは違って、驚き心配してる様に見えた。
またしても聞いてもないのに善之が教えてくれるには、どうやら旅行で不参加予定だった彼女が急遽現れたので驚いてるのではないかという事だった。
無愛想な返事と納得した僕を残し、善之は彼女達に近づいていった。
その後も善之は、場の空気や人の表情をよく読んで声を掛け和ませている様に見えた。
聞いてもないのに話し続けるのはいただけないが、あいつのそういう所は素直に尊敬するし、普通に羨ましい。
ちなみに僕はというと隣に好きな子がいるのに話しかけもせずにいる。
食べたくもないお菓子を食べながら、なんなら半身彼女に背を向け、聞き耳だけたててる様な状態だ。
どうやら早川さんは緊張もせず楽しんで友達と話してそうだ。
そういえば自分も緊張が薄れてる事に気付いた。知らない場所でも知ってる人がいると落ち着いてく。
だが迫ってくる自己嫌悪には耐えれそうにないので他の事を考える事にした。
にしてもGWによくこれだけ集まったなと思えてきた。
これも善之だから出来る事なんだろう。考えてみればクラスで誰とでも気兼ねなく話してるのは、あいつくらいなもんだ。
明日が連休最終日とはいえ彼女の様に旅行してた人もいるだろうし、もちろん他に予定もあるだろうし、宿題なんかも終わってない人もいるんじゃないかなどと浮かんできた。
……嫌な予感がしたので帰ってきた善之に一応確認をした。軽口の返しから平静を保ちつつ落ち込んでいく姿を見て悟った。まだ1日あるんだから明日ウチに来る様にだけ伝え、聞かなかった事にした。
やっぱり長短あるよな。少し気が楽になった。