間違い探し
ここも違った。
こちら側の廊下には書庫の他にも、ビリヤードやダーツなどのある娯楽室、小瓶や皿などといった小物関連とナイフや斧などのあからさまな武器などが用意された倉庫部屋があった。
しかし、どの部屋にも肝心な善之の姿は見当たらなかった。
ちなみに二階堂くんとキキちゃんミミちゃんの3人は先に食堂に戻ってしまった。
正確には、我関せずといった感じの二階堂くんの後を2人が追いかけて行った図であった。
まぁ僕として、君の事が苦手です、なんて知られた後に変に付き合ってもらっても気まずいだけなので、むしろ助かったのだが。
にしても善之に対して、だんだん腹が立ってきた。
見つからないのもそうだが、そもそもあいつが主催者であり纏め役だろうに、そんなやつが1番好き勝手してるのも許せない。
誰も僕を呼びに来ないという事は、きっとすれ違いでもなく、あいつはまだどこかで単独行動をしてるはず。
メインホールまで戻って来たところで階段が目に飛び込んできた。
まさかあいつ自室で寝てるんじゃ……といった懸念がふと浮かんできたのだが、しかしフェアリさんが一階にいると断定していた以上、この辺りにいる事は間違いないはずだと思い直す事にした。
もう諦めて戻ろうかとも考えた時に、今度は赤い絨毯が目に入り、視線はそのままその先の洋館の扉で止まった。
さすがにそれは無いだろうと思いつつも両の手で洋館の扉を開く。
そこには昨日と変わらず、薔薇一面の庭園があり、風が薔薇の香りを乗せてきた。
そして昨日と違うのは、差し込む朝日と朝の空気、それと爽やかに駆けぬけるバカが1人。
しばらくじっと眺めていた僕に気付き、朝の挨拶を投げ掛けてくる善之。
僕はそっと扉を閉めた。