1/21
回想
子供の頃は『みんな同じなら世界は平和になるのに』って考えてた。
そしたら誰かを傷つける事や、誰かに傷つけられる事もないはずだなんて思ってた。
その答えはまだ分からない。
分かる様になった事といえば『人は産まれながらに平等では無い』って事。
人それぞれ好きな事や嫌いな事もあるし、見てきた景色も違う。
だから正しいと感じる事や、優先する事も人それぞれ違う。
それは時として共感出来る物や、理解出来ない物だったりする。
でも、その日その時その場所で同じ境遇に自分が置かれたなら、自分は同じ答えを出せたのだろうか。もしくは違う答えを出せたのだろうか。
悲鳴はなかった。
少なくともソレの悲鳴はなかった。
耳に残るのは、四肢と頭頸部が引き千切れる音。
目に残るのは、四肢と頭頸部の首と名の付く部位がシャンデリアの燭台に刺さりぶら下る絵。
動かないのは、俯せに残された胴体。
動いてるのは、揺れるシャンデリアと六方から溢れ出る血潮。
見上げる自分。見下す自分。
何が正しくて何が間違いなのかなんて、分からない。