7 どこかの民族の子?
昨日のことが頭から離れなかった。
ずっと先輩のことを考えていた。
普段の先輩のこと、
最初のあの時の先輩のこと、
昨日先輩にされたこと、
それから・・・。
そんなことを悩みつつ、
玄関を開けると・・・
「・・・ハロハロ・・・風見迎えに来た・・・。」
・・・なごみがいた・・・。
「・・・・・・。」
僕の手が不意に戸を閉めようと動く。
・・・たぶんこれ以上悩みが増えるのを無意識に嫌がったのでだろう・・・。
すると、
「・・・早くいかないと遅刻するよ・・・。」
ミシリッ!
無表情で戸を押さえる。
「・・・・・・。」
そんな様子に唖然としていると、
ミシリッ!ミシミシ・・・。
「かざみ?」
「はっ!?
ごめんごめん、じゃあ行こうか?」
僕は正気に戻り、
戸が壊れていないか気にしつつ、
しっかりと鍵をかけ、学校に向かう。
・・・その前に、
・・・ごめんなさい・・・玄関の戸・・・。
僕は何をしていたのだろうと思いつつ、
今度こそ学校に向かう。
などと頭が混乱していた僕だったが、
少し落ち着いてきたので、
「・・・なごみ・・・」
「ん?」
彼女は不思議そうな顔をしつつ、
僕の顔を見つめる。
「なんで待ってたの?」
彼女は僕の腕をとる。
「・・・ん?付き合ってる人って一緒に登校するんじゃないの・・・?」
彼女はのんびりとそんな風に答える。
・・・付き合ってる・・・?
「って、そうだった!」
・・・すっかり忘れてた・・・。
・・・こっちもあったんだった・・・。
「だから行こ。」
なごみはそんなのは気にした様子もなく、歩いていく。
僕もそれに続き、
・・・やっぱりこれは聞かないとダメだよね・・・
そう思い、彼女に声をかける。
「・・・なごみ・・・。」
「・・・ん?なに・・・?」
「・・・なんで広めたりしたの?」
「・・・何を?」
なごみは僕にそう尋ねる。
「だから・・「もしかして、付き合ってるってこと?」・・・
・・・そう・・・。」
彼女は途中で思いついたようで、
僕の言葉を遮る。
「ふふふ、そんなの簡単。」
彼女は口元だけに笑みを貼り付け、無表情でこんなことをのたまう。
ビシッ!
「他のメスを近づけないため。」
「・・・・・・。」
・・・冗談だよね・・・。
「ふんすっ!」
けれど、彼女の表情からはどこか満足そうな様子がうかがえる。
「・・・・・・。」
僕は二重の意味で絶句する。
・・・この子はただの不思議ちゃんじゃなかったんだ・・・
・・・この子はきっとどこかの民族の子なんだ・・・。
そういう風に無理やり納得することで・・・もとい、諦めることでしっかりと現実を受け入れた。
・・・もう今更、文句を言っても仕方ないもんね・・・。
・・・すでに後の祭り・・・
・・・昨日先輩が知っていたことからもほかの学年にも広まってるみたいだし・・・
・・・あはは・・・。
僕はもう笑うことしかできなかった。