5 生徒会室
こんな風にふて寝で一日をつぶしてしまった僕だったが、
恋愛相談は別だ。
・・・というか・・・
・・・もうこれがなくなったら、僕は・・・
「・・・・・・。」
・・・さて、今日も頑張ろうっ!
といった風に頑張った結果。
2件ほど相談を受け終えた。
いつもならこれで帰るところなんだけど、
僕はある場所に向かっていた。
・・・生徒会室へ・・・。
皇 春を頼るためだ。
彼女とは中学時代からの付き合いで、
出会いは彼女が恋愛相談を僕に依頼してきたことから始まる。
しかも3番目というかなり早くに・・・。
彼女の相談は恙なく、特に問題なかったのだが・・・。
彼女のそれは失敗した。
それはなぜか?
答えは彼女は告白どころかデートすらせずに、
その恋を諦めたから・・・。
僕の相談が合わなかったのか?
などと聞いてもそういうことじゃないらしい。
彼女が言うには、
「もういいの。
ほかに好きな人ができたから・・・。」
だそうだ。
今度は自分一人で頑張ってみる、
とも言っていた。
・・・んだが、
まったくその様子がないどころか、
僕の相談を手伝ってくれた。
相談相手を呼んできたり、
僕が困ったとき、女性の視点を教えてくれたりと・・・。
そんな彼女と僕なんだが、
最近は入学のときにあいさつした程度で、
あとはメールのみのやり取りだった。
なぜかって?
・・・そりゃあ・・・
コンコンコンッ!
「はいどうぞ~!」
彼女の間延びした声が聞こえたので、
「失礼します。」
中に入る。
彼女は中央の椅子に座っている。
「もう~!
もっと早く来てくれると思ったのに~・・・。」
先輩は拗ねたように頬を膨らませ、
僕をにらんでくる。
僕は彼女のそんな反応へのやるせなさを込めつつ、
「いやいや、先輩、最近まで忙しかったんじゃあ・・・。」
・・・体育祭なんかもありましたし・・・。
「うっ・・・た、確かに・・・。」
彼女は僕のほうから目をそらし、
「だいたい、なんで私が生徒会長なんて・・・そういうことは3年生が・・・。」
なんてことをぶつぶつと言い始めた。
「春、君はまたそんなこと言って・・・。」
「ううう~だって・・・私2年生よ~・・・雪ちゃんもわかってるでしょう?」
「・・・まあ、今の生徒会のメンバーを見る限り、君以上の適任はいないからね。」
困ったことだ、
と額に手を当て
かなり顔立ちが整った男の人は彼女にそう答える。
・・・かっこいいとこんな姿でも絵になるんだ・・・
と感心しつつ、
・・・そういえば、体育で・・・
なんて僕は僕で面識を思い出していると・・・。
彼はこのままでは埒が明かないと思ったのか、
「まあ、それはそれとして、君は誰かな?」
「えっと・・「私の風見ちゃんよ~。」・・。」
「風見ちゃん?・・・ああ君が・・・。」
と彼は僕をまじまじと見た後、
「今ちょっと、彼女と話していたんだ。
悪いけどあと少し外で待っていてくれるかな?」
先輩は彼の目を見た後、
「うっ・・・あと・・・あとちょっとで終わるから・・・すぐ終わらせるから。」
先輩はどこか残念そうに僕にそう言う。
「はい、わかりました。」
僕は外に出ていく。
それから、
5分ほどたち、
彼は出てきた。
すると、
「ごめんね、
ちょっと待たせちゃったかな?」
笑顔で僕に話しかけてくる。
「いえ、そんなことは・・・で話は終わったんですか?」
「ああ。」
「それじゃあ。」
僕が中に入ろうとすると、
「待ってほしい。」
彼は僕の手を取ってくる。
そして何かを握らせて来る。
「?」
「僕の連絡先・・・今度会って話さないか?」
「えっ?」
「君の都合がいい時でいいから、じゃあ!」
そんなことを言って、
彼は走ってどこかに行ってしまう。
・・・・・・。
「?」
僕はそんな彼の様子にはてなマークを浮かべつつ、
中に入ると、
「きゃあっ!」
先輩が倒れこんでくる。
慌てて抱きとめる。
「大丈夫ですか、先輩?」
僕は困惑しつつ、声をかける。
すると、
「ばれちゃった~♪」
どうやら盗み聞きしていたみたいだ。
「うふふ、ちょっと気になっちゃったの。」
と僕に向かってほほ笑んでくる。
・・・別に普通に聞いていればいいのに・・・
と思いつつ、
「先輩ならいいですよ。」
・・・たぶん雪さんもそうなんじゃないかな?仲がよさそうだったし・・・。
などと思いつつ、
中に入るんだけど、
先輩が俯いたまま動かない。
「先輩?」
などと何度か声をかけるんだが・・・。
「うふ、うふふ・・・。」
などといった感じで動かない。
仕方がないので手を引いて中に入れ、
扉を閉めるのだった。