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鑑定の巫女

「ショ~ウ~」


母ちゃんが抱きついてきた。


むむむ。


胸に顔が・・・


え~臭いや~。相変わらずやわらけ~。


「大丈夫だった?」


「母ちゃんにだっこしてもらったら治ったよ~。」


「まあ、ショウはいいこね~」


オレの頭を撫でなでる。


「ところで、リンねーからオレの事探してたって聞いたけど?」


思い出したように母ちゃんが話し出す。


「そうそう。ショウも7才になったじゃない~。そろそろ巫女さんとこつれてかなきゃって」


手をつなぎオレをのぞきこむ。


「巫女さんて?」


「う~ん」


少し考えてから母ちゃんが答える。


「この世界では、みんな7才になふったら巫女さんに見てもらうの。将来のお仕事のこととか得意こととか。」


「ふ~ん。」


何だかよくわからない。


「贈り物ギフトっていって神様から特別力もらっているのよ。例えば、剣士ソードマンなら、剣を上手に使えるようになって強くなるとか。私の楽士とか。極めるには努力が必要だけど、贈り物がない人よりは速く簡単に上達するの。」


「うーん。よくわかんないけど、お得なんだね」


「そうそう。お得なの」


ぽんと手をたたいてかあちゃんがうなづく。


「じゃ、今からいくわよ~」


贈り物ギフトはよくわかんないけど、巫女さん楽しみだな。


母ちゃんより綺麗かも。


にやけてると、母ちゃんに頭たたかれた。


ヤキモチか?


どんだけオレのこど好きなんだ。



まっ、オレもすきだけど。



路地裏に入り鳥居の入り口を入っていくとノスタルジックな店に入る。うす暗い店内には人の気配がしない。


「すいませ~ん」




「いらっしゃ~い」


テーブルの上の魔石灯が点灯し妖怪の顔を照らし出す。



違った。



梅干し顔の老婆のかおを照らす。



「ひえ~」



思わず声をもらす。




「巫女さま、おひさしぶりです。」


母ちゃんがおじぎをする。



え~!


巫女さんて、若くてきれいなお姉さんじゃないの~!


あなたが鑑定の巫女様なのでしたか。期待が崩れ去った。



「なんか、失礼なことを考えとる、坊主だな。」



巫女がじと目でオレをみる。


「あはっ」


あはっ、ばればれですか。さすが巫女。


「ふん。


始めるとしようかね。」


ため息をつくと、目の前の水晶に両手手を伸ばす。


水晶が淡い輝きを見せる。


「水晶に両手を置きな。」


言われた通りに光っている水晶を触る。



光が両手から流れ込んでくる。


手、肩、胸、


頭、腰、両足。


オレの身体全体から淡い光が発している。



巫女がオレの目をのぞきこむ。



視線があうと頭の中がぼうっとしてくる。


「目を閉じなされ」



目を閉じると、何もない真っ白な世界にたっていた。



「しばらくそのままにしているのじゃ」


遠くで巫女の声がした。




すると気分がすごくよくなり、目の前に美女を何人も侍らせた王さまのような男が現れ、ニコニコしながらこう叫んだ。


「ラッキー!ハッピー!ハイテンショ~ン!」


叫び終わると美女たちが男に寄り添っていく。


ドドドドド~!


と金貨が空から降ってくる。



スゲー!



少したつと、白い霧がたち、男たちが見えなくなる。



ウギャーーーーーー!!!



遠くから、魔獣が走ってくる。


一匹。二匹。三匹・・・・・。


何匹くるんだ~。



ウオーーーーーー!!!



後ろを振り向くと、かえり血を浴びた兵士たちが迫ってくる。



うわー!


恐怖でその場にしゃがみこむ。



「坊主」



目を開けると、梅干し顔の巫女がオレを見ている。


さっきより、すっぱそうな顔をしている。



「ショウ」


母ちゃんが心配そうにのぞきこむ。


「こわかったよ~」


甘えて母ちゃんに抱きついた。



「レア持ちじゃな」


 すっぱい顔の巫女がつふやく。



「うーむ。」



うめぼし巫女が腕を組んで考え込んでいる。



「巫・女・さ・ま」



 母ちゃんが、心配そうにうめぼしの方を見ている。



 しばらくすると、シワシワの口が動き出した。



「・・・レインよ。死んじまった旦那もレアもちじゃったな。」


 母ちゃんの目尻に涙がたまる。



「坊主、よく聞け。


レアもちってのは、早死にしちまう運命なのさね。


20歳までにほぼ死んじまう。


長生きしてもま30歳までには間違いなく寿命がきちまう。


強い力を使えるようになるが、体内の魔気の消費も大きく通常なら20歳前にに枯渇しちまうのさ。


 この世で魔気なくなっちまったら、病気とかの抵抗力と治癒能力がなくなっちまうから、ころっといっちまうのさね。」



ズズ。


 母ちゃんの鼻をすする音に振り向くと涙をうかべている。


 オレの父ちゃんも、レアもちだったらしい。


 確か、シン帝国に立ち向かった英雄だったって、母ちゃんは、いってたけど。


 誰もそんな話しないんだよなあ。


 今度、ライさんにでも聞いてみよ。



「31」


 母ちゃんが呟く。



「ああ、あいつは頑張ったからね~。


 あの事件がなかったら、もう少しいきられたかもねえ。


 まっ、あんたが持ってる力はそんな物騒なものなのさね。」


 うめぼしがオレに語りかける。


「父ちゃん知ってるの?」


「この街の者は、みんな知っとるさね。


・・・話すことは禁じられてるがの」

 

うめぼしが目を細める。


 母ちゃんが泣き出す。




「亡国の六龍、リュウ=ホウと呼ばれた男の事をね。」




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