海に行ったら魂抜かれたんだが
「んじゃ行ってくるわ」
「おう。逝ってこい」
「字がちげぇ!!」
俺は赤崎智大。今年、20になったばかりのちょっと訳ありの社会人だ。仕事も3年目に入り大分慣れてきたところって感じだ。
今日は会社の友達と海に来ている。お盆前に忙しい時期を乗り越え、連休を貰ったため、海へと泳ぎに来た次第だ。因みに友達は女性達をナンパしに行ったため何処かに行ってしまった。
『やれやれ、あいつもほんっとバカだよね』
そんな友達を放っておいて俺は準備運動をして海へとはいっていく。
元々水泳はしていたため泳ぐのは好きだし得意だと自負している。
俺は人波から離れたところから泳いでいく。浅瀬で楽しんでる人達の邪魔になっちゃいけないと思い沖合の方へと泳いでいく。既に足もつかないところで人影も遠くに見えるところまで泳いできたようだ。
『トモヒロ、行きすぎ。ロープ見えてる』
「っと、そうだな。1回戻るか」
おっと、紹介忘れてたがこいつは俺の中にいる俺の1人だ。俺はこうやって人格と会話ができる。ま、相手の声は俺にしか聞こえないがな。
そろそろ戻ろうと考えたその時だ。何かに引っ張られたように海中へと吸い込まれる。
「はっ…?」
俺は何も抵抗出来ずに吸い込まれていく。直ぐに海底に穴が空いているのが見えた。中は暗闇でそこが見えない。俺は抵抗して泳いでいくも直ぐに呑み込まれてゆく。と、その時だ。自分の体が目の前にあるように見える。何が起きたかすぐには理解できなかった。だが、呑み込まれていくなか聞こえていた音や声は何も聞こえなくなった。魂だけとなったようだと、なんとなく実感する。
体は俺とは別の方向へと流される。時折光が見えるが俺の人格も分かれていってるのだろうと思いながら目を閉じる。
20年。長くも短くも感じたなと思いながら俺はこの生涯に幕を閉じた
『…なんと哀れな…。我が力を与えよう。我が主となりて世界を救う救世主へとなってもらおうか……』
意識が飛ぶ直前、何処からか声が聞こえたーー




