表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

それは私がいつも利用している駅でのことです。


ある日、電車がやって来る側にあるホームの端に、女が立っていました。


普通の人は線路の方へ向いて立つのですが、その女は反対側の壁の前で、壁に向かって立っているのです。


鼻と壁がくっついてしまうのではないかと思えるほどに、近い距離で。


そして目を大きく見開いて壁を見つめているのです。


なまじ目の大きな美人だったので、余計に怖いと言う印象を受けました。


彼女を見ていると、ホラー映画のやばい女がみんな美女である理由が、わかるような気がします。


私は刹那声をかけることを考えましたが、すぐにその考えを改めました。


あまりにも近寄りがたい雰囲気だったからです。


他の人も同じように感じたのでしょう。


みんな彼女をちらちらと見てはいるのですが、誰も声をかけようとはしませんでした。


それは駅員でさえ同じでした。



その日を境に、毎朝彼女の姿を見かけるようになりました。


やはり壁のまん前に立ち、壁を凝視し続けています。


まるで目の前にあるその壁が、親の敵でもあるかのように鬼気迫るものでした。


当然声をかける人はいませんでしたが、慣れてきたのかみんなあまり気にしなくなったようです。


壁を見つめる以外は何もしないのですから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ