恐るべし、母の力! 無限に舞う剣技!
「おい! ルーロ? イーゼ? どうしたんだよ!」
人間化せず、喋らずの二人に俺は一生懸命話しかける。
しかし、二人とも一切口を開かない。
何故だ?
もしかしてさっきまでことは俺の夢……?
「僕の息子よ、何故さっきから剣に話しかけているんだい? そしてその二つの剣は何なんだい? とんでもない魔力を感じるんだけど……」
「……あ」
なるほど、父さんが入ってきたから話さなくなったのか。
賢い剣達だ。褒めてあげたい。
「えーっと」
どこまで言って良いものか。
まあ、とりあえず……。
「作りました。自分で……魔法で」
「作った⁉︎ なるほど……作ったか、ふふ、流石僕の息子だな。まさか魔法で剣を作るとは……想像もしなかった」
「はい、中々良いものが出来ました」
「しかし、だ……何故剣に話しかけていたんだ?」
「あー、えーっとですね。話しかけたほうが良い剣になるかなぁーって……」
「ふむ、よく分からんな。まあ良い。僕の息子とはいえども、前世を含めればもう二十歳も超える頃だ。言いたくない事情もあるだろう。これ以上追求はしないでおこう」
「あ……えーっと、ありがとう父さん」
「良いよ。あ、そうだった……夜ご飯出来たから一階に降りてくれ」
「あ、はい! 後で行くよ」
「ふむ」
言うと父さんは部屋から出た。
「はふぅ〜……」
疲れた。精神がすり減った。
「焦った、焦った。私たちが有能で良かったなぁ、ご主人」
「ん? ああ、ルーロか」
「ふふ、私たちの存在は、国宝級と考えて行動しろよ。ご主人。バレたらすぐにでも国の最高騎士団が来るぞ」
「最高騎士団⁉︎」
聞いたことないけど……絶対やばそうだ。
関わりたくはないなぁ。
面倒なことは出来れば避けたい。
「さて、じゃあ夜ご飯食べに行くからまた後でな」
「ふむ」
「はい」
ルーロ、イーゼと順に返事したのを聞いて、俺は夜ご飯を食べに下へと降りた。
次の日、早朝から母さんと修行ということで俺はいつもの平原にいた。
因みに、この平原の土地は母さんが原始時代に買い占めたものらしい。
かなり広いけど……おいくらだろうか?
「さて、今日も特訓よ。ロゼ」
「はい! 母さん」
「ん……? その剣は……あぁ、父さんが言っていたとんでもない魔剣と聖剣ね」
今回、俺はルーロとイーゼを持ってきていた。
今まで一回たりとも母さんに勝てたことないが、これなら勝てるかもと思ったからだ。
「これなら……母さんにも勝てるんじゃあないかなってさ」
「ふぅん……無理だと思うけど」
「じゃあ……行くよっ!」
俺はその言葉を発するとともに前に出る。
そして左に持った魔剣を、母さんの脇腹めがけて放った。
「あまいっ!」
しかし、母さんにその動きは完全に読まれていた。
剣で受け止められる。
流石……だけど!
「今回は二刀流なんだぜっ?」
俺はくるりと回転するようにして、右手に持った聖剣を、背中を狙って放つ。
「なるほど、ならこれはどう?」
ガガァッンっ! 音にするとこんな感じだろうか?
右手に持った聖剣が背中に達する前に、体にそんな衝撃が走り、俺の体は停止した。
体中が痺れるような感覚で、全く動けない。
な、なんだ……この技!
「奇術流の技よ……剣から強い衝撃を与えることにより、相手の動きを停止させる」
「な……⁉︎ でも、母さんの剣は俺の魔剣を抑えていたはず……どうやって」
「だから、剣を通してあなたに当てたのよ」
「剣を通して……?」
「そう、衝撃を、私の剣からあなたの魔剣、そしてあなたの体へと伝えたの」
「そんなことまで出来るのか……⁉︎」
「ええ、これは盾解流の技よ」
くっ、混合技って事かよ……半端ねえなぁ。
「私には、十種の剣術に、それぞれ百種の奥義、千種の技がある……。計一万百種類。二種類を組み合わせる混合技は五千九十九万九千九百五十種類。三種類なら千七百十六億六千五百八十三万千七百種類。さらに四種類五種類と、一万百種類まではいくらでも組み合わせることが出来る。合計するといくらあるのかは知らないけど……さあ、どうする? 私の可愛い息子ちゃん」
「どうするもこうするも……今じゃあ勝てないことは確かなんだ。なら、その技全部……母さんから奪う。全部覚えてやる。それしかないだろう?」
暗記くらい、前の体でするのに比べたら余裕だ。
体に覚えさせて、脳に覚えさせて、全て吸収する!
「楽しみにしているわ。でも、その剣達に頼るのはやめなさい。剣に頼るようじゃあ、剣士としていつまでも三流よ」
「は、はい……でも、せっかく作ったのに」
「そうね……私に半分くらいの本気を出させるくらい強くなれば使っていいわ」
「わ、わかりました」
その返事を返す頃に、やっと俺の体が動けるようになった。
そしてルーロとイーゼを片隅に置き、鉄製の普通の剣を持つ。
それから、暗くなるまで剣の修行を続けた。




