放て! ブチ抜け! 俺の究極の魔法よ!
転生してから三年後のことである。
俺は広大な平原に立っていた。
見渡す限り緑しかない、現代では見られなかったような綺麗な風景だ。
「……ふぅ」
呼吸を整える……。
俺は魔法を放とうとしていた。
「……」
転生してから三年間。
毎日努力を惜しまず魔法の特訓をした。
初日から休んだことなど一度もない。
毎日魔法を放ち、毎日魔法書を読み、毎日父の指導を受けた。
「はぁ……っ!」
放った魔法は雷魔法。
俺のもっとも得意な魔法だ。
ドンッ! と、音が轟き、絶大な雷が辺りに降り注がれた。
「……っ、少しやり過ぎたかな」
さっきまでの緑の風景は、真っ黒になっていた。
再生魔法使うか。
「はぁっ!」
少し気合を込め、再生魔法を辺りに放つ。
すると、みるみる内にさきほどまでの緑が戻ってきた。
「よし、調子いいな。今日は再生魔法をとにかく鍛えるとしよう」
「ふふ、相変わらず凄い成長率だね」
「あ、父さん」
いつの間に背後に……気づかなかった。
流石父さんだ。
「君の成長は、僕の予想を常に超えてくる……この調子なら七歳には僕を超えることも容易いかもしれないね」
「いやいや、父さんを超えるなんて……」
「いや、超えてもらわないと困る。親としてはね。子とは親を超えるものだ」
親を超えるもの……か。
それなら超えるしかないよな。
そうだ、どうせ頑張るのなら目標は大きくだ。
父を超え、全てを超え、目指すはこの世界でナンバーワンだ!
「グルルルルル」
ん? なんだ?
「ふむ、なるほど予測した時間と寸分の狂いもない。よし息子よ、ついに倒すべき敵が現れた。存分に力を発揮すると良い」
「敵……?」
「ああ、言うのを忘れていたね。この世界には……」
そこまで父さんが言った瞬間、急にそいつは俺の目の前に出てきた。
「グルルルルルぁぁぁぁぁっ!」
狼の様な風貌をしつつ、周りに風を纏っている、謎の生物。
「な……⁉︎」
「この世界には魔獣というものがいる」
「魔獣……!」
この狼みたいのが……魔獣か。
「くっ!」
少し間を取って、警戒する。
魔獣というだけあって、風を纏っているあたり、恐らく風魔法を使うのだろう。
ならば近距離は危険だ。
たちまち風の刃で切り裂かれてしまうことは明白だからな。
「ガルうっ!」
その風狼は風を利用しているのか、とんでもない速さで俺に飛びかかってきた。
さっき取った間合いなど、まるで意味などないとでも言うような速さだった。
「さあて、どうするか……」
まあ、相手の情報が全く分からない以上、やることは決まっている。
火力でゴリ押す!
それで無理なら戦略を立てればいい。
「はぁぁぁぁあっ!」
俺の最高火力を見せてやるぜ……!
炎魔法と雷魔法を、無理やり魔法の製造段階で混ぜ合わせ撃ち放つ混合魔法……失敗すれば魔力暴走し、危険な技だが……火力は今ある俺の魔法の中で最強を誇るものだ。
「ふううっ」
感覚を研ぎ澄ませる。
やはり調整が難しい……けど、
「出来たっ!」
行くぜ……!
最強にして最終奥義……!
「究極の雷炎!」
それは風狼に向かって一直線に飛んで行く。
爆発するような音を一つに収束させたような鈍い音が辺りに響き、その風狼は為すすべもなく……微塵も残らず消え去った。
「ふう……やったぜ」
が、俺は驚いた。
その魔法は止まることがなかった。
風狼を消し去った後もまだ俺の魔法は残っていた。
ドンッ! ドンッ! ドンッ! と、何度も鈍い音が鳴り響き、遠くの山を破壊して行く。
「や、やべえ……」
どうしよ……。
そう思った瞬間、父さんが飛び上がって、とんでもない速さ俺の魔法の方へと向かっていった。
そしてすぐに魔法に追いつく。
流石父さんだ!
「はぁっ!」
父さんは俺の魔法に黒い魔法をぶつけ、俺の魔法を消し去る。
そして降りてきた。
「ふぅ……何をしている」
「え?」
「自分の魔法くらいは制御出来るようにして貰わないと困るよ……うぐっ」
すると父さんは倒れた。
「父さん⁉︎」
「さっきの魔法はどんな魔法でも消し去るかなり消耗の激しい技なんだ。僕でも最近作ったばかりの技でね……ふふ、すまないが魔力を分けてくれないかな?」
「あ、はい」
言って俺は父さんに魔力を流し込む。
「ふうっ、ありがとう。しかしそれにしても僕にこの魔法を使わせるほどの魔法を使うとは……やはりとんでもないなぁ」
「そうかな?」
「ふっ、更にあんな魔法を使い、僕に魔法を分けてまだ魔力が枯渇していないこの魔力の高さ……さっきは七歳と言ったが、もしかしたらもうすぐなのかもしれないな。僕を超えるのも」
父さんは少し寂しそうにそう言った。
「さて、帰ろうか」
しかしすぐに顔を明るくし、何か魔法を放った。
「これは……?」
「転移魔法だよ」
「転移魔法……⁉︎ やっぱり父さんは凄いや」
「ふっ、すぐに使えるようになるさ」
そうして俺と父さんは転移魔法に入って、家へと帰った。




