表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/46

21.猫のプレゼント

 「うぅむ……成程(なるほど)……」

 黒江さんは、苦しそうに頷いた。


 いや、それ、そんな納得いかないこと?


 「黒江さん、自分では鳩とか食べないでしょう? そんなの獲って来られても、巴先生、困るだけですから」

 「そうですよ。鳩とか雀とか、バイキンだらけなんで、巴先生が病気になったら大変ですよ!」

 和坂(かにがさか)さんの言葉に、国包(くにかね)が便乗する。


 黒江さんはしょんぼり肩を落とし、溜め息を()いた。

 「では、私からご主人様に贈り物をすることは、できないのですね……」


 「猫基準のプレゼント……双羽(ふたば)さんに斬り捨てられても知りませんよ」

 「プレゼントとかなくっても、巴先生は黒江さんがちゃんと指示を守って、用事をこなすだけで喜んでくれてますよ!」

 「猫は『かわいい』がお仕事なんで、黒江さんが元気でいてくれるだけで、巴先生は充分、幸せですよ!」

 国包(くにかね)がイヤそうに首を横に振りつつ脅しをかけ、俺がフォローし、和坂(かにがさか)さんが可愛く言ってみせた。


 「……そうでしょうか?」

 執事形態の使い魔は、渋い声で疑わしげに言った。

 俺と和坂(かにがさか)さんが、声を揃えて肯定する。

 「そうです。断言できます」

 「何故ですか?」


 「巴先生は用のない時、黒江さんを猫形態にして、だっこしてもふもふしてるでしょう」

 「あれは、猫専用『かわいい』のお仕事なんです!」

 「かわいいのおしごと……!」

 俺と和坂(かにがさか)さんの説明に、黒江さんが驚愕する。


 犬飼いの国包(くにかね)が、アホの子を見るような目で見ているが、気にしたら負けだ。

 「そうです。『カワイイのおシゴト』なんです! だから、自信を持ってください」

 「大丈夫! 猫形態の黒江さんも、イイお仕事してますから! 私が保証します!」


 「黒江さん、毎日ちゃんと巴先生の命令をこなして、今でもいっぱい褒められてるのに、なんでプレゼントしたいと思ったんですか?」

 国包(くにかね)が、根本的なことを質問する。

 冷静なこいつが居てくれて、ちょっと助かった。


 「ご主人様はいつも、『猫の形の時は、人間の言葉でお話しちゃダメだし、ちゃんと普通の猫のフリをするんだよ』とおっしゃっています。普通の猫が贈り物をするなら、私もせねばなりません」

 それは迷惑だから、やめてくれって話だったんだが、この使い魔は、どうやら別方向に解釈したようだ。


 和坂(かにがさか)さんが、ひきつった笑顔で説明する。

 「猫全部がプレゼントくれる訳じゃないんですよ。友達の家の猫は全然、プレゼントくれなくて、台所の床とかに時々、パーツ単位で落ちてるだけなんだそうですよ」


 何のパーツなのかは、敢えて言わない。

 言ったら多分、この使い魔は実行する。


 プロレスラーみたいなごつい体格の執事が、不安そうに俺たちを見回す。

 「そうですか。贈り物をしなくても、ご主人様は、私の猫のフリを認めて、これからも構って下さるでしょうか?」

 「あ……あぁ、大丈夫! 大丈夫です。今でも充分、猫です」

 「そうそう! その構ってちゃんっぷりとか、充分、猫です」

 俺と和坂(かにがさか)さんが全力で肯定すると、黒江さんは(いぶ)(ぎん)系の渋い顔を(ほころ)ばせて、無邪気に喜んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
関連項目。巴准教授、黒江、双羽が登場する話。
読まなくても支障はありませんが、関係性はわかりやすくなります。
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
野茨の血族ポテ子も↓と同じシーンに登場。
碩学の無能力者ポテ子も↑と同じシーンに登場
汚屋敷の兄妹三人が大掃除を手伝う
野茨の環シリーズ 設定資料用語解説など
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ