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復讐の始まり

アントニーナの復讐は、かなり奇妙な物だった。

そして、姉の喪明けと共にその奇妙な復讐は幕を開けた。


「ただ殺すだけでは十分な復讐にならないわ。それ相応の事をやらなければ。あいつにとって死より苦痛な事をやるの。それでね、あいつは女を言葉巧みに誘惑し、最後には抱くのが大好きなようだから、もう一生女を抱けないようにしてやるの。」


アントニーナは、扇で口元を隠し、薄着味悪い笑みを浮かべて言った。


アントニーナの侍女クロエは、驚いた。冗談かと思ったが、彼女の目は本気だった。


「不能にすると…?でもどうやって…?」

「まず、素性を偽ってあいつに近付くの。そして…具体的にいうと、行為中に発作を起こして死ぬの。そしたら、あいつにトラウマをなすりつけられるわ。あいつはトラウマのせいで一生女を抱けなくなる。」


もはや驚きを、呆れを通り越して感動した。まさか、本当に実行するつもりなのか…。いや、冗談にしてもこんな奇妙な事を思い付くとは…。


「まあ、せいぜい頑張ってくださいませ。」

「なにいってるのよ。あなたにも協力してもらうわ。こればかりは、1人じゃできないわ。」


逆に1人でできることなんてあったかしら…


「分かりました。でも、程々になさいませ。仮にも相手は一国の王太子様なのですから。出来うることにも限りがございます。」


そう、相手は王位継承権第一位の王太子の地位にある方なのだ。仮に素性を偽って近付いたとしてもすぐに特定されるだろうし、そもそも素性もはっきりしないような怪しい女と枕を共にするだろうか。


「大丈夫よ、分かってるわ。あいつはとにかく女に目がないと聞く。私は、一応10人並みの器量はあると思うわ…。ええ、少なくとも目を背けたくなるほどの醜女でもないと思う…わ…。だ、だから、素性がハッキリしなくともあいつの目に止まれば、きっとあいつは私を抱くわ!」


私の考えを見透かしたように、最初は自信なく、しかし最後は自信満々に言い切った。言い切ったと同時にパチンと扇を閉じた。


「アントニーナ様は、10人並みどころか1000人並みの器量ですわ!決して醜女などではありません!」

「そうかしら…?」

「はい!」


アントニーナ様は、それはそれは絵画に描かれた女神様のように、いえ、それ以上美しい。なのに、ご自分では気付かれない。


それが、最大の誤算だった。


彼女は美し過ぎた。

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