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盃
カタカタと揺れるグラス
グラスの中には赤い液体
白い手がそのグラスを握る
ほわりと笑われる
カタカタとグラスを揺らす
人生は注がれた液体なのだ
簡単にこぼれてしまう
口に含めば甘く芳醇
喉越しは心地良く
胃の腑に落ちて燃え上がる
焦り飲めば
それはむせかえるほどに
香りを放ち
喉を刺し
心を冷やす
違えども
等しい
グラスを揺らす白い手が
動きを止める
ほろりこぼれた涙が
グラスを満たしていく
人のココロがこぼれていく
グラスに受けられる
悲しみも喜びも
ホンの僅かで
揺れるグラスからは
赤い液体がこぼれていく




