天使の平安
「切ないであります」
『マクリア』
『ベルガルン!!』
「はぁああであります」
「心を蝕む邪悪なる敵め! キャンティがお相手です!」
『シェイガン!!』
「はぁ」
「いい加減にため息やめるべし」
ため息を吐く緑の蝶の妖精に声をかける。うっとおしい。
「なんで男の娘でありますか」
「いや、お前が俺の彼女にさせようとするからだろ?」
チラリとキャンティを見る虫妖精。
黒のロングヘア。ゴスロリ風の黒い衣装。アクセントは濃淡ある緑。
顔の半分を隠す蝶の仮面。すらりと凹凸はあまりない。
「はぁあああであります。選んだ天使が着てくれてたらであります」
「俺の天使のそんな姿を不特定多数に見せれるわけじゃねぇだろうが!!」
「しかも告白まだでありますから現状貴様はストーカーに過ぎないのであります」
「誰がストーカーだよ。恋人だよ。恋人。告白してるし、ちゃんと好きって答えてもらってんだよ!」
「近所の幼馴染としてであります」
ああ言えばこう言うそんな蝶妖精パムロンはキツい。
「俺の天使だよ!」
「自分の天使であります。貴様は他を探すがいいのであります」
「俺の天使は俺のもんだ!」
「はっ! 重要なのは天使の意思であります」
「だいいち、他だと?」
ザッと周囲に群がる奴らを思い出す。
「体重六十キロを切るような棒にようはねぇ!」
「自分もであります!! 気に入らないところを多くともそこだけは意見が合うであります」
「パムロン!」
「キャンティ。天使に寄ってくる虫を排除に行くであります!」
「ガッテンだ!」
バカ二匹




