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翼を広げて  作者: とにあ
自由にまばらに
7/400

転落を望む

 こわいと思った。


 空なんか飛べなくてよかった。


 明日は欲しいけれど君がいないなら意味はなかった。



 翼を広げて空を飛ぶ。


 正しいことと教えられてもそれは君を置いていくことで。



 そんな正しさはいらなかった。



 間違っていてもいい。


 正しくなくていい。



 君といるその時間だけが安寧だった。


 君は僕に飛ばないのと聞く。



 君が飛べないのに僕は飛びたくない。



 僕は君といたい。



 だから僕は笑う。



 いつか。



 正しさが変わったら。




 君とどこまでも堕ちよう。

涼維

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