ドウキ
世の中間違ってると思うんだ。
そう、ホントいろいろさ。
手のひらサイズのウサギの妖精を見たんだ。
幻覚じゃなくて。本気で。
奴はじっと見ていたのだ。
母を。
そして呟いた。
「彼女こそ正義の変身魔法戦士に相応しいちゅ」
次の瞬間、
奴を引っ掴んで揺さぶる俺がいた。
四十に近い俺の母親に何をやらせる気なんだよ!?
『トライン!』
変身のキメ呪文。
タクトが描く魔法陣。
キラキラ魔法光が俺の体の周囲を取り囲む。
衣装はヒラヒラした白を基調に締めるように黒ベストと銀鎖。
ヘッド装備のウサギ耳。
ああ
このタイプの格好を母がしてるのを想像するとキツイ。
誰かに見られたいなんて思えない。
絶対ばれちゃいけない。
大丈夫。
八つ当たり相手ならいるじゃないか。
「お。アカリナがいるっちゅ。びちのめすっちゅ!」
兎妖精がちゅーちゅー言ってくる。
俺は今日も敵相手に八つ当たり。
戦闘中は魔法使い以外には感知されないらしい。
適性者限定で普通に魔法学科なるものがあるけどな!
ラビュの情報によれば、仲間もいるらしい。
オバハンばっかじゃなきゃイイが。
「ラビュ以外はみんな変態っちゅ」
てめーもだよ。チクショウ!




