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壊れる
私はそこにいて声に従うコトが全てだった。
従えば見てもらえた。
いても許された。
私は言われたコトに従ってただ守るコトが存在意義だった。
望まれたコトを、
それ以上の期待に応えて始めて許される。
価値も意義もない。
ただあるだけの私が許されるにはそれしかなかった。
憎めと言われるなら憎もう。
愛せと言うなら愛そう。
それでも、
本物にはなれはしない。
パラパラと落ちる乾いたペンキ。
空っぽ空っぽがらんどう。
何にもない。なんでもない。
グズグズに壊れていく。
誰に顧みられるコトなく壊れていく。
待ちに待った崩壊の時。
自由って なぁに?
私って
なぁに?
あなたの望みに少しでも役に立てた?
ねぇ
私は役に立てた?




