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翼を広げて  作者: とにあ
自由にまばらに
5/400

力不足

 出会った頃の冷めた瞳が忘れられない。


 いつしか熱を帯びた瞳が不安を呼ぶ。



 違う。



 それを望んだわけじゃない。


 その声は言葉にできず、当然、届かない。



 手を差し伸べた。


 冷めた瞳が悲しくて。未来を見て欲しくて。



 君は未来あすを見ているのだという。


 柔らかくすべての刃を真綿で隠した笑顔を見せる。



 君には君のあすを飛んで欲しいのに。


 気がつけば君の瞳は冷たく冴えて。






 道を切り開いてほしいわけじゃない。





 どうせなら共に手を携えたかったのに


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