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翼を広げて  作者: とにあ
古い人物設定イメージ表現実験
377/400

寝床の冬眠熊

眠る眠る

目覚めを忘れて眠る


『仕事しろ』『交流しろ』『起きろ』


急き立てる声は聞こえない


ふっこりした寝床の中で

誰かの寝息を聞きながら眠る


人の寝息

人の温度


それは愛しい子守唄


「失われると眠れないものだなぁ」


ぐいぐいと体を伸ばしてふらふら部屋を歩き回る


部屋の隅の壷の中


春の花の塩漬けと

甘い木の実が詰まってる


大きく開いた窓からは

ひらひら舞い散る春の花


白い寝床はお日様のにおい


春の花の塩漬けを摘んで口に放り込む

誰もマナーの悪さを叱らない





「ああ、しょっぱいなぁ」



眠り

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