鏡
イライラと音をたててカラ打ちを続ける。
打ち込んではただ消していく。
何も残らない残さない。残せない。
プラスティック樹脂がかち合って跳ねる音はひどく耳障りで苛立たしい。
寝そべって眺める画面がふいに揺れる。
ぶれた画面に震動してるのが自分だと知る。
足は震えてるようには見えない。
どっどっと私の耳にだけ届く流れ。
ただ体がその流れにただ引きずられてるかのようで気持ち悪い。
理解できない震えが怖いのに無関心を装ってタップ続ける。
きえろ。
きえろ。
ぜんぶきえてしまえ。
何が残る?
のこらない。
残せない。
なら、ほら、消えてしまえ。
横たわればわけのわからない震え。
きえろ。きえろ。
生きることに意味はない。
ここにいることに意味はない。
きえろ。きえろ。
ああ。耳鳴りがする。
だって、まだここにいるから。
意味を問う心があるから。
誰かのためになればいいなんて考えない。
そんな余裕はないから。
きえた。きえた。
誰かを本気で思いやるなんてできない。
これは自分がしたいだけ。
勝手に好きになって、勝手に行動する。
嫌われたくないのも自身のエゴだ。
だからいつでもシンジテしんじられない。
ここは歪んだ鏡の国。




