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離魂
ひらひらと木の葉
蜘蛛の巣に囚われて翅ははがれぬ
吊り下げられたその身は逃れるを知らず
蜘蛛の森の罠の中
助けの声もあげない
身を任せ絶望にひたすら浸る
沈む中で宙吊りの我が身を忘れる
もはや動けぬ我が身では地に落ちてもただの餌食
喰われる運命しか我が身には残されていない
しかし
それでもそれは間違いではない
それはどこまでも正しいのだ
わが身は失われて他の生命に続く
言葉などなく
ただ自然の摂理
ただ生命の流転
ただ離魂の儀式
なにも違わない
生命で魂
肉の重みは違えども魂の重さは等しい
優劣などなく
種の差異による価値観
世の中には多くの正しさと多くの間違いが溢れてる
私の正しいはあなたの間違いかも知れない
あなたの間違いは私の正しいかも知れない
囚われて翅ははがれぬ
身動きがとれない
そう
間違いではなくただ現実
宙吊りの蜘蛛の巣
ただ一片の離魂の式




