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朧の檻
目を開けた世界を見わたして私は理解する。
ああ。
ここは夢の中なんだ。と。
地平線のむこうは白くけぶる境界の遠い世界。
こんな場所が現実にあるはずはないのだから。
一歩、歩みを進めればさやりと触れる感触に自分が揺らぐふわりとした服を着てると知る。
白いレースが青いフレアスカートの上を柔らかく彩る。
進みたい?
立ち止まりたい?
私は夢なのに自分に問いかける。
夢だからかな?
夢の中はふわりふわりとどこまでも自由で。
月を望めば空に月が浮かぶ。
ほら。夢だ。
お月様にはお星様。
キャンディみたいに散らばって。
ひらひら舞うは蝶の羽根。
こんな現実あるはずない。
カチンッと夢は消え去ってただ真っ暗なシガラミの檻が取り囲む。
こんな檻。
出れるはずがないんだ。




