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みどり
私はその景色が好きだった
無限に広がるようなみどりのグラデーション
心馳せる麗しき世界
喪われたのはいつのことか
あの日のしろき閃光
小さな点だったしろは瞬く間に広がりすべてを白に染めた
気がつけば
しろの世界にいた
ほかの色は
なかった
しろい場所を彷徨った
わけもわからずただ彷徨った
ぺたぺたとみっともない音だけがついてくる
そこは誰もいないしろ
彷徨ううちに悲しくて切なくて
ふりかえる
うしろには小さなみどりがあった
嬉しくて駆け寄りたかった
うごけない
動かない足を見ようと下を見た
足元はまっかだった
あかからみどりが伸びる
それは
ヌケガタイカイナ
『ツカマエタ』




