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夜のお話
絨毯、星空、風呂で三題噺
ミルクの入ったマグを両手でそっと包み込む。
今、目の前にいるのは若い女性。リステラ。
さらさらのブラウンの髪。明るいブルーの瞳の女の人。
難しい病気の治療法を研究していると言う女の人。
「治るの?」
と聞いたら
「治るといいわねぇ。うつらないから大丈夫」
夜になると川に下りて穴を掘る。
温かなお湯が出るところがあるからお風呂を作るのだ。
星の出ている夜も出てない夜も毎晩二人で穴を掘る。
僕はある夜一人で穴を掘る。
起きてこないリステラを埋めるための穴を掘る。
それは深い穴。
シーツと絨毯に包まれた彼女は眠ってる。
今日の空には星が瞬いていて素敵な夜だった。
彼女を穴の底に寝かせて這い上がる。
火が上がる。
僕は火を見ながら迎えを待つ。
星空絨毯にリステラが、煙になったリステラが逝く。
なにやら死話




