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翼を広げて  作者: とにあ
自由にまばらに
222/400

歌声

りりり

りりりり


響くのは虫の歌声

夏の空から秋の空へと模様替え


りりり

りりりり


その音色を涼やかに思う心は

どこからきたのだろう


りりり

りりりり

みーん


なぜ秋空に歌うセミは

こんなにものがなしいのだろう?


りりり

りりりり

りりり


道路の端に張られた蜘蛛の巣

歌声はものがなしさを誘う


高い青空に散りばめられる

白雲はまとまりなくひろがる


ごぉう

ごぉおう


鉄の塊が空をゆき

白い軌跡を残す


りん

りりりん


しまわれず

窓辺に揺れる風鈴の音色


初秋の朝の歌

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