一目惚れの既視感
突発的に降ってきた雨。雨宿りに駆け込んだ公園の休憩所。先客の少女が止まない雨を心配そうに見上げている。
くせっ毛を無理に、みつあみにしているらしく髪はぴょこぴょこ跳ねている。
「ひどい雨ですね」
少女の声がすんなり耳の入ってくる。
「何処かで会ったことありませんか?」
あんまりにも使い古されたナンパの言葉が口をついて出たことに気がついて、すぅっと羞恥心が上がる。
「はじめてだと思いますよー」
振り返って僕を覗き込んでくる面差しに、覚えはなくて、それなのにいたずらめいた表情に感じる既視感。
「でも、ちょっと懐かしいですねー」
少女が楽しそうにくすくす笑う。
「生まれる前に会ったのかなー?」
からかうように振ってくれるのに何も言えなくなる。
「あ、小雨」
「勤め先のカフェが近くにあるんだけど、温かい飲み物と、帰り用の傘はいかが?」
そっと手を差し出せば、みつあみの少女はお日様のような笑顔を見せた。
「ほんと? ちょっと冷えてたんだ~、嬉しい提案かも」
おずおずと伸ばされる手。
勇気を出してその手をとる。
「マシなのは今だけかもしれないから走ろう!」
指が絡む。
「りょうかーい」
「ひどくならなくてよかった」
「ほんとにー、ねぇ大丈夫?」
息を切らせることなく彼女は笑う。
なんとか頷いて呼吸を整える。
「ねぇ、名前、教えてくれる?」
整えた呼吸が乱れる。
「ぼくの、なまえは」
診断メーカー
甘甘な創作するならお題は/①不意打ちの雨で雨宿り/②恋は盲目/③指をからませて手をつなぐ です http://shindanmaker.com/154485




