偽装の町で4
夜食
黒い狼がちょこんとカウンター席に座ってる。
手袋は外して人間の指先。
フォークを握りしめてサラダをつつく。
ベーコンはカリッと軽く塩もみした葉物はしんなり。削ったチーズを振りかけて。
軽めをテーマに卵を溶いて黄色いオムレツ。鳥肉のフライを裂いて盛り付ける。
アッサリめのドレッシングを添える。
軽くトーストしたフランスパン。タマネギオリーブニンニクバジル、ハーブたっぷりのバターを塗り込む。
「あ。ハーブバター多めでね!」
狼の声が飛ぶ。
きっと君の瞳はキラキラしてる。
「お肉、お魚、鳥、何がいい?」
「へへ〜。てんちょー」
「うん? なんだい?」
何が食べたいんだろう?
「ふわふわっと鳥さんがいいな」
「了解」
浮かれたような声に少し残念そうな色?
気のせいだろうか?
塩に漬けこんでいた鳥肉を軽く洗い流してさっと湯通し一口サイズにカットして揚げるように焼いていく。味付けは塩コショウとレモン。
おいしそうに食べる君が好き。
「てんちょー。だいすきー」
口にほおばったままもごもごと君は笑って好きと言ってくれる。
「美味しいと、好きと言ってくれる君が好きだよ。デザートは冷たいのとあたたかいのどっちがいい?」
「冷たいのがいいな。てんちょーみたいに暖かいのもいいけどね!」
「怒ってる?」
「怒ってないよぉ。怒る理由なんかないもん!」
あきらかに拗ねてる君にデザートを差し出す。
クレープ生地にりんごとカシスのアイス。ミントの葉っぱをかわいく添えて。
「どうぞ」
「てんちょー」
「ん?」
「新しいデザートフォークぷりーず」
ああ、そうだった。
「はい。どうぞ」
差し出せばすっと手首を捕まれる。
「え?」
「いつも、美味しい料理をありがとう」
ふっと感じる指先の熱。
ぺろりと垣間見える赤い舌。
「やぁ~ん、おいしそう~」
君の声が明るく弾んでる。
それがなんだか遠くから聞こえたような気がするんだ。
10分以内に1RTされたら着ぐるみ女がてんちょーにがふざけて指先に賞賛のキスをされるところを描き(書き)ます http://shindanmaker.com/257927




