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翼を広げて  作者: とにあ
自由にまばらに
194/400

メインはお前だ!

『オカザキレオ様に捧ぐ』

 赤い果実。

 ふっくらとしたラインを描くグラスの中に一粒だけ転がっている。

 香りを循環させるためのそのカタチの中に赤黒い液体を注ぐ。

 ゆっくり香りを楽しむ。

 グラスを君にむけて傾ける。

「今日のメインに乾杯」

 ため息。

「ガキが酒なんか注いでんじゃねぇよ」

 グラスを取り上げそのままあおる。我がメインは我より背が高い。

 青銀の短毛の猫人マウニー、我が十五年前に拾い、育て食おうと思っていたメインである!

 ちなみに我は由緒正しき吸血鬼デドリトと呼ばれる種の皇族が一人。

 寿命も成長速度も違う。それを甘く見てたとは思う。

 我の外見は十五年程度では変わらぬ。

 赤子であった猫人を拾ってきた当時とさほど変わってはおらぬ。服装、くらいであろうか?

 しかし、猫人をはじめとする獣人はその短期間で言葉を操り、技能を覚え我を見下すことを覚えおった!

 我が食材メインの分際で!

「レオ! 主の飲み物を許可なく飲み干すとは何事ぞ!」

 叱りつければけだるげに残った果実を摘んで差し出してくる。

「どうぞ」

 差し出されるまま口をつける。その際にそっと指先を吸血牙で掠めれば、お前の味が果実に滲みる。

 口内に溢れる唾液にお前の甘みと果実の酸味。

 じっと見上げればイロのある瞳が見下ろしている。

「そのまま、我がかいなに堕ちよ。老いの楔から解き放たれよ。我がうちに堕ちよ。我が口付けを受けるがよい」

 ふっと弧を描く口元。

 それはまるで笑い猫。

 余裕を強く含んだ表情が気に入らない。

「ん~。いや~。梅干味でそんなトコに落ちるのは勘弁かな~」

「これ以上、我より背が高くなるのは許されぬのだ! 我が口付けを受けるがいい!」

「え~。やだってば~」



 かっかと怒る若君バカギミをあしらいつつ笑う。

 今、止められたくなんかねぇんだよ。

 寿命や老化のために心を売り渡したなんていわれたくはねぇ。

 でも、若君が俺とつりあうのって何時?

 つーか、俺が食っちゃ駄目?

オカザキレオ様よりのお題

とにあ嬢は吸血鬼、梅干し、男性×男性で作品を書くよ。


吸血鬼もレオ君も男性です♪

では宣言どおりで投下いたします


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