メインはお前だ!
『オカザキレオ様に捧ぐ』
赤い果実。
ふっくらとしたラインを描くグラスの中に一粒だけ転がっている。
香りを循環させるためのそのカタチの中に赤黒い液体を注ぐ。
ゆっくり香りを楽しむ。
グラスを君にむけて傾ける。
「今日のメインに乾杯」
ため息。
「ガキが酒なんか注いでんじゃねぇよ」
グラスを取り上げそのままあおる。我がメインは我より背が高い。
青銀の短毛の猫人、我が十五年前に拾い、育て食おうと思っていたメインである!
ちなみに我は由緒正しき吸血鬼と呼ばれる種の皇族が一人。
寿命も成長速度も違う。それを甘く見てたとは思う。
我の外見は十五年程度では変わらぬ。
赤子であった猫人を拾ってきた当時とさほど変わってはおらぬ。服装、くらいであろうか?
しかし、猫人をはじめとする獣人はその短期間で言葉を操り、技能を覚え我を見下すことを覚えおった!
我が食材の分際で!
「レオ! 主の飲み物を許可なく飲み干すとは何事ぞ!」
叱りつければけだるげに残った果実を摘んで差し出してくる。
「どうぞ」
差し出されるまま口をつける。その際にそっと指先を吸血牙で掠めれば、お前の味が果実に滲みる。
口内に溢れる唾液にお前の甘みと果実の酸味。
じっと見上げれば艶のある瞳が見下ろしている。
「そのまま、我が腕に堕ちよ。老いの楔から解き放たれよ。我が腕に堕ちよ。我が口付けを受けるがよい」
ふっと弧を描く口元。
それはまるで笑い猫。
余裕を強く含んだ表情が気に入らない。
「ん~。いや~。梅干味でそんなトコに落ちるのは勘弁かな~」
「これ以上、我より背が高くなるのは許されぬのだ! 我が口付けを受けるがいい!」
「え~。やだってば~」
かっかと怒る若君をあしらいつつ笑う。
今、止められたくなんかねぇんだよ。
寿命や老化のために心を売り渡したなんていわれたくはねぇ。
でも、若君が俺とつりあうのって何時?
つーか、俺が食っちゃ駄目?
オカザキレオ様よりのお題
とにあ嬢は吸血鬼、梅干し、男性×男性で作品を書くよ。
吸血鬼もレオ君も男性です♪
では宣言どおりで投下いたします




