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翼を広げて  作者: とにあ
自由にまばらに
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麻薬

人と触れ合って嫌われるのがこわいと思えた相手は君だけなんだ。

きっと君は僕にとっての麻薬。

その味を知って、君を失った僕はこれからどうするんだろう?


失われていく色。

痛みは禁断症状にも近くて。

忘れろと言う声と忘れるなと言う声がせめぎ合う。


手の中で暴れる小鳥。

飛ぶための風切羽根を切られた小鳥。


僕は手に力をこめる。

痛みはある。


だから進んでいける。

星のない濃紺の空が広がる。



何もない大地から小鳥は満天の星を見上げる。



砕けた体で台地に眠る。

千秋

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