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翼を広げて  作者: とにあ
自由にまばらに
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祝の花・塔・その住人

 

 空を仰ぐ。

 広がる蒼天。

 吹き付ける強風。


 強風は青へと沈む。


 風は床を打ち返ってくる


 そして潮の香りを含み風が戻ってくる。




 潮の香り?




 吹抜けを飛び降りる。




 光の真白から海の濃紺へと周りの色が変わる。



 どこまでも夜の海に近い濃紺の床。



 海の香りを纏う帰還者がそこにいた。



「おかえり」と喜びを(あらわ)にする塔の主の前に帰還者は崩れ落ちる。



 不思議そうな塔の主の眼差しがこちらを見る。




 空を仰ぐ。


 天上より舞いくる風に乗った花弁が帰還を祝った。

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