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翼を広げて  作者: とにあ
自由にまばらに
165/400

人生行路5

探偵と着ぐるみ男

日常回

「ふむ」

 PC操作中の探偵に男は接近しようとして挫折する。

 ちらりと探偵が一瞥。

「何か用かね?」

「な、何をしてるのかと思ってね」

「夕食の注文だ。人は食べねば生きていけないからね」

 男は小さく「やはり」と呟く。

「じ、実は提案があるのだがね」

「自炊は却下だ。私は美味しい物が食べたいのだから」

「自炊しろとは言っていない。さっぱりと自然食がいいのだが? 中華もピザもチキンも油がきついんだ!」

「ネット注文と、割引チケットの関係が……」

「ダメだと?」

 男にすがるように言われて悩む探偵。

「ふむ。仕方ないな」

 探偵がマウスを操作し、キーボードを叩く。

 不思議そうな肉人着ぐるみを眺めつつ、息を吐く。

「妹にな、適当な店でテイクアウトして来いとメールした。アレは食べ歩きが趣味だから」





「ああ。助かる。また振り込んでおこう」

「さんきゅー。おねーちゃんだいすきー。んじゃーねー」

 元気な声が扉の隙間から響き消えていく。

「ん? 起きたか。妹のオススメメニューらしい」

 探偵が男に差し出すのは重箱。しかも五段重ね。

「さっぱり?」

 懐疑的な男の声に探偵はふっと笑う。

「食べる前に評価を下すのは愚かだな。食べてから決めればいいだろう?」

 テーブルにことりとおかれるのは紅茶ベースの甜茶。



「ん。けっこう食べやすいな」

「妹によると下に段は保管のきく朝食用らしいぞ。気がきいてる店だな」

「妹さんが気がきいてるんじゃないのかい?」

「あの妹にそんな神経はないよ」

 ピーチと生クリームのサンドを齧りながら探偵はそう呟いた。

食生活は店屋物

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