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ピン
小さな頃から見ていた。
夢は大きくなったらお嫁さん。
パパもママも笑ってた。
女の人といるのを見ても平気。
だって、おにいちゃんが見てるのは。
小さな助けの必要な命だもの。
私はそんなおにいちゃんが大好きで。
おにいちゃんが大嫌い。
いつまでも子供扱い。
ねぇ
私、もう子供じゃないの
それなのに
おにいちゃんの前では
子供から抜け出せない
私を見てくれて
私を見てくれない
大好きで大嫌い。
悔しいぐらい愛しくて
愛しいから憎い。
ただ愛せればいいのに。
ただ好きでだけいられればいいのに。
好きと嫌いのジレンマが
小さなピンのように突き刺さる
宇美




